医師・歯科医師の臨床能力を高めるため、医療現場で働きながら行う研修制度。医師については、1946年(昭和21)に医学部卒業後の1年間の臨床訓練を経て医師国家試験を受けるインターン制度が始まった。大学生による反対運動を経て1968年にインターン制度が廃止され、「2年間の臨床研修が望ましい」(医師法の努力規定)とする臨床研修制度に変わり、2004年度(平成16)からの新制度で義務化された。
医学部を卒業し国家試験に合格した医師は必須(ひっす)の診療科を巡回し、臨床能力を身につける。医師と、規模や指導体制などの条件を満たした研修指定病院がそれぞれ希望を出し、コンピュータによる組合せで病院が決まる。医師は、3年目以降の専門研修医(後期研修医)と区別して「前期研修医」ともいう。
新制度の導入に伴い、処遇も改善された。アルバイトを禁止し、研修に専念するかわりに国が一定の補助をし、適正な給与(月額30万円程度)の支給を研修施設に求めた。
制度発足時は研修病院の受け入れ枠が大きく、必須は内科、外科、救急、小児科、産婦人科、精神科、地域保健・医療の7科だった。この結果、従来は7割を占めた出身大学病院での研修が激減し都市部の病院に集中した。そのため、地方の大学病院は人手不足から関連病院へ派遣した医師の引揚げへと走り、地方の病院の医師不足、医療崩壊に拍車がかかったうえ、短時間の研修の効果も疑問視されるようになった。
こうした背景もあり、2010年度から必修は内科、救急、地域医療の3科と選択必修2科(外科、麻酔科、小児科、産婦人科、精神科から2科を選ぶ)の5科と、専門としたい科を組み合わせる方式とし、都道府県別の研修医数を決め、6都府県分を削減した。
また、診療に携わる歯科医師は、国家試験合格後、1年間の臨床研修が2006年度から義務化されている。
[田辺 功]
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