自己資本利益率(読み)ジコシホンリエキリツ(その他表記)return on equity

デジタル大辞泉 「自己資本利益率」の意味・読み・例文・類語

じこしほん‐りえきりつ【自己資本利益率】

アール‐オー‐イー(ROE)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「自己資本利益率」の意味・わかりやすい解説

自己資本利益率
じこしほんりえきりつ
return on equity

企業株主から預かっている資本でどれだけ利益をあげたかを示す指標。英語の頭文字をとってROEと略称する。企業の稼ぐ力(収益性)を測る指標の一つで、数値が大きいほど効率よく利益をあげていることを表す。「純利益÷自己資本×100」で算出するのが一般的である。株主が拠出した資金で株主が要求する利益をあげたかどうかを判断する株主視点にたった指標といえ、株価と一定の相関関係があるとされている。

 アメリカでは1980年代から、企業の稼ぐ力を評価する指標として、PER株価収益率時価総額が純利益の何倍あるかを示す指標)と並んでROEが重視されてきた。日本では、外国人投資家の増加にあわせ、1990年代後半からROEが重視されるようになった。アメリカでは、ROEが10%以上あることが優良企業の条件とされている。ROEは借金を増やして利益をあげたり、自社株買いや増配による株主還元で自己資本を圧縮したりすれば、数値の改善が可能になる。ROEには、こうした負債活用や株主還元などの財務テクニック(財務のレバレッジ)に数値が左右される特性がある。このため最近は、ROEと並んで、財務のレバレッジ効果を排除できる投下資本利益率ROIC)が稼ぐ力をみる指標として注目されるようになり、経営指標として採用する上場企業も増えている。

[矢野 武 2019年1月21日]

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株式公開用語辞典 「自己資本利益率」の解説

自己資本利益率

別名、ROE(Rate of Return On Equity)、株主資本利益率[かぶぬししほんりえきりつ] という。発行済み株式数に対しての企業の自己資本(株主資本)に対する当期利益(税引後利益)の割合。米国では株主構成に機関投資家が増加し、これらの投資家が「投下した資本に対し、企業がどれだけの利潤を上げられるのか」という点を重視したことも背景となって、最も重要視される財務指標となった。企業は、株主資本(自己資本)と他人資本(負債)を投下して事業を行い、そこから得られた収益の中から、他人資本には利子を支払い、税金を差し引いて最後に残った税引利益が株主に帰属する。したがって、自己資本利益率は、株主の持分に対する投資収益率を表すことになる。そのため、経営者が株主に対して果たすべき責務を表した指標と見ることができる。また、それは株主に帰属する配当可能利益の源泉となるものであり、配当能力を測定する指標として使われる。自己資本収益率は株式の投資尺度としても重要である。BPS(一株当たり純資産)が所与とすれば、自己資本利益率を高めることはEPS(一株当たり利益)の上昇につながり、将来的な企業利益上昇の期待から株価上昇につながる(企業の将来価値を金利等で割り引いた、企業の現在価値の上昇につながる)。

出典 株式公開支援専門会社(株)イーコンサルタント株式公開用語辞典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「自己資本利益率」の意味・わかりやすい解説

自己資本利益率
じこしほんりえきりつ
profit rate of net worth

平均自己資本保有高に対する年間利益の割合。税引前当期利益 (年換算) ÷期首期末平均自己資本× 100で計算され,自己資本に対して利益がどの程度上がっているかをみる比率であるが,借入資本の多い日本の企業では,利益の実態をこの比率だけで推しはかることはできない。

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会計用語キーワード辞典 「自己資本利益率」の解説

自己資本利益率

最終的な利益額を自己資本の金額で除した割合を示すもので、どれだけ効率的に当期利益が稼げているかを見る指標です。

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世界大百科事典(旧版)内の自己資本利益率の言及

【財務分析】より

…逆に投下資本利益率が低く安定している場合には,事業リスクは低いと判断され,借入れを行い自己資本比率を低くすることができる。(4)自己資本利益率 企業の基本的な収益力,および成長力を示す指標。税引後利益を自己資本で除した比率であり,株主の投資の採算を表す。…

※「自己資本利益率」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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