株価を1株当り年間税引利益金で除したもので,株価が〈1株当り利益〉EPS(earnings per shareの略)の何倍に買われているかを示す指標(単位は〈倍〉)。PERあるいは単に略して〈レシオratio〉という呼称のほうが一般的である。1920年代のアメリカで生まれた株価評価の考え方であり,今日まで主流を占めて使用されている。株式投資の採算は従来,株主配当すなわち利回りを基本としてきたが,企業基盤の確立,高度経済成長時代での投資活発化を背景に,企業の収益力,安定性に加え成長性を重視する傾向が強くなり,58年前後の,いわゆる利回り革命前後より普及が始まり,今日では株価評価上,最も代表的な指標となっている。株価収益率が高いということは会社の利益に比べ株価が相対的に高く,逆に低いということは株価が利益に比べ割安ということになる。ただ株価収益率は,株価がその企業の収益をもとに何年で還元されるかをみるものであり,通常は予想税引利益で計算されるし,企業ごとの成長力の差によって評価は変わってくる。たとえば,同じ1株当り予想税引利益金が20円の会社が2社ある場合,一方の会社が今後の年平均成長率が横ばいとみて10年間で回収するものとすると(すなわちPER10倍)株価は200円となる。もう一方の会社が年平均20%の成長が予測される場合,10年間の累積回収額は前記ゼロ成長会社の2.6倍となり,それだけの評価(すなわちPER26倍の520円)をしてよいことになる。通常,このように個別銘柄ごとの予想PERを計算して評価することになるが,将来の利益成長率の予測が困難であることのほか,株価はその他の要因(たとえば市場人気)によっても大きく左右されるので,ことはそう単純ではない。個別銘柄の計算式は,株価収益率(PER)である。
なお,82年10月の改正商法の施行にともなって,無額面株の発行,株式分割の実施,単位株制度の採用により,株価指数に継続性の面で問題が生じたため,全銘柄株価収益率の計算式は,それまでのからに変更された。
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株価水準を評価する際に用いられる指標の一つで、株価を1株当りの年間税引純利益で除して求められる。PER(price earning ratio)ともいう。従来日本では、株式投資の基準として、配当を株価で除して算出される「利回り」が中心となっていたが、アメリカでは有力な株式投資の指標として、また企業の業績を示す有力な財務指標として、株価収益率が利用されている。一般に収益率が高ければその株式は成長性が買われて割高であることを意味しているが、株価は理論的には「将来利益の現在価値の総額」と考えられることから、かならずしも「高いから割高」ともいえないことには注意が必要である。つまり、分子にある「株価」は、理論上、「今後得ることができるであろう将来の利益の総額」であり、それを「現時点の利益」で除しているとも考えられるので、この値が「高い」ということは、それだけ「現時点の利益に比べて、将来の成長力が高い」ともいえることにもなる。とはいえ、グローバル化の進展とともに、配当より利益が企業の実力を反映しているという観点から、株式市場の国際化が進むに伴い、株価収益率の利用度が高まっている。
[桶田 篤・前田拓生]
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(熊井泰明 証券アナリスト / 2007年)
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…このため利回り採算投資は,実際の株価水準からして行いにくく,また株式価値,株価水準の判断尺度としてほとんど活用されていない。
[株価収益率]
この株式利回りに代わって,利回り革命前後から株価収益率(PER)という考え方が普及しはじめ,現在では最も代表的な投資尺度になっている。これは,配当の根源である利益と株価を対比したものである。…
…PBRともいう。利回り,株価収益率(PER)が利益というフローに着目した株価水準を判断する指標であるのに対し,会社の資産価値に着目した投資尺度として用いられる。株式は利潤証券としての価値と同時に,物的証券としての価値をも有し,インフレ進行や国際通貨不安,低成長経済下でのTOB(株式公開買付け)流行などが株価純資産倍率(PBR)に対する評価を高めている。…
※「株価収益率」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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