自治会(読み)ジチカイ

デジタル大辞泉 「自治会」の意味・読み・例文・類語

じち‐かい〔‐クワイ〕【自治会】

学生生徒が学校生活を自主的に運営していくための組織
同一地域の居住者が、自分たちの共通利益の実現と生活の向上目的として作る組織。

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精選版 日本国語大辞典 「自治会」の意味・読み・例文・類語

じち‐かい‥クヮイ【自治会】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 学校で、児童・生徒・学生が、学校生活を自主的に営みながら、民主的な社会の一員としての資性を啓発していく活動。自治活動のための組織。小学校では児童会、中学・高校では生徒会、大学では学生自治会などという。
    1. [初出の実例]「舎生に自治会を開かせて委せきりにした方がいいと思ひます」(出典:若い人(1933‐37)〈石坂洋次郎〉二)
  3. 民間団体または、同一地域に住む人々などが、自分たちの社会生活を自主的に運営していくためにつくった組織。また、その集まり。
    1. [初出の実例]「自治会へ行く途中、衛兵の立ってゐる場所が一つある」(出典:蝮のすゑ(1947)〈武田泰淳〉二)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「自治会」の意味・わかりやすい解説

自治会
じちかい

地縁団体の一つ。一定の区域世帯や事業所が参加し、地域的な課題に主体的に取り組みながら区域の管理にあたる自治組織である。自治会には、地方自治法などに規定された要件を満たし、土地や建物などの不動産登記や財産所有が可能な法人格をもつ認可地縁団体と、法律上の権利や義務の主体とならない権利能力なき社団に位置づけられる団体の2種類がある。総務省の2013年(平成25)の調査によれば、全国で29万8700の自治会や町内会などの地縁団体が存在する。名称に関する定義はなく、ほかに町会、区会、区などの呼称が用いられている。なおここでは、学生自治会などには触れない。

 歴史的にみると、近隣の互助組合であった隣保組織を基盤として、1940年(昭和15)に行政組織としての町内会、その下部組織としての隣組が全国的に整備された。これらの組織は、終戦後の1947年(昭和22)に廃止されたが、形式上解体されたものの、その枠組みだけは地域に残った。そして、占領下の法的規制が徐々になくなると、以前の枠組みに基づいて、町内会として復活させる地域があらわれたほか、町内会の連合組織や、団地管理組織、マンションの管理組合などの新たな地縁団体がつくられ、自治会という名称が広く用いられるようになった。このような経過をたどった地域は多く、場所によっては、町内会にあたる団体を行政区自治会、隣組にあたる団体を集落自治会とよび、現在も上下関係が存続しているところもある。

 今日の自治会は、地域の課題解決や地域文化の継承、住民の親睦(しんぼく)といった活動のほか、市区町村から住民への情報伝達をはじめとする、行政と住民の連絡窓口としての役割を果たしている。おもな活動として、以下のようなものがある。(1)市区町村からの依頼への対応や住民への情報伝達。(2)ごみ集積所の共同管理、清掃や防犯などの取組み、伝統行事などの運営。(3)社会福祉や募金運動などへの協力。(4)地域の要望の合意形成や自治活動。このような活動に加え、地域の安全管理や自主防災の取組み、独居老人や老老介護などに対する住民同士の見守りと助け合いなど、新たな地域的課題にも対応が必要とされる。しかし、自治会などの地縁団体への加入率は、全国的に年々低下しており、構成員の高齢化や担い手不足が深刻な状況にあるため、従来の地域活動さえ維持できなくなっている団体が少なくない。今後はこれまで自治会とは異なるコミュニティであった消防団、婦人会、PTA、福祉関係団体などが、一つの枠組みのなかで協力しあうことが重要な課題となっている。

[編集部 2016年6月20日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「自治会」の意味・わかりやすい解説

自治会
じちかい

(1) 児童,生徒,学生が学校生活を自主的に運営する集団として構成する活動組織。小学校の児童会,中学校,高等学校の生徒会,大学の学生自治会などがある。第2次世界大戦後,民主的社会の市民を育成する場として重要視された。しかし,話合いの形式化,少数の役員だけによる運営,実践と討議の遊離などが原因で,教育的機能は十分に発揮されていない。わずかに,生活指導運動のなかで,学級やクラブなど小さな組織を単位として自治会の活動を充実させようとする努力が試みられている。 (2) 同じ住居地域の住民が,共同利益の実現や親睦のためにつくった自治組織。

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