消防組織法に基づき、市町村が設置する。団員は他の仕事や学業をしながら、火災や災害が起きた時に現場へ駆け付け、消火活動や住民の救助、避難誘導などを行う。報酬などは条例で定める。全国の団員数は2023年4月時点で76万2670人。少子高齢化や、地域社会への関心低下などで年々減少しており、団員確保が課題となっている。
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1947年4月20日の消防団令によって設置された消防のための団体。原則として1市町村に1団が設置されている。現在は消防本部および消防署と並列的な地位にあり,消防組織法(1947公布)9条および15条に基づく消防組織の一つとして,火災や震災等の災害による被害を軽減することを目的とした公的な機関である。地域住民の有志で構成され,消防団員は平素は各自の職業に従事しているものの,有事の際には召集されて消防業務に従事するようになっており,一般的には非常勤の特別職の地方公務員である。このため比較的少ない経費で多くの人員を活用できる点が特徴である。装備は小型動力消防ポンプを主体とするものが多いが,消防ポンプ自動車や化学消防車を装備するものもある。
消防団の歴史は古く,東京では江戸城や武家屋敷等の火災を対象とした大名火消や定火消に対し,一般町人のための消防を行う目的で1718年(享保3)に組織化された〈町火消〉がその前身にあたる(〈火消〉の項参照)。町火消は1872年(明治5)に〈消防組〉となった。この消防組は94年の消防組規則で全国的に統一されるとともに私設の消防組は廃止され,以来府県知事が各市町村を単位として設置することとなり,その費用は市町村が負担し警察署長が指揮権を有する公的組織となった。ただし,消防組規則は東京市および沖縄県には原則として適用しないとされていたことから,東京では従来の消防組が依然として存在したほか,保険会社の一部では,被保険物件の保護を図るための私設消防組を設置していた例もあった。1931年ころから軍部の強い指導のもとに地域住民による防空業務(灯火管制,警報,防火,防毒,交通整理,救護等)を行わせるための〈防護団〉と称する組織が全国各地に設立された。この組織は法的根拠もないままに拡大し,37年には全国で400万人の規模にも達した。人口の少ない市町村では同一人物が消防組員と防護団員を兼ねる例が多くなり,さらに指揮系統が異なる状態で業務が重複錯綜したほか,相互の権限の面でも対立する問題が生じた。そこでたび重なる調整の結果,39年の警防団令により消防組と防護団の組織をともに廃止し,〈警防団〉を組織して戦時体制を整えたが,以降は防空のほか火災や水災の面でも大きな役割を果たすことになった。第2次大戦後は防空業務がなくなったこともあって警防団の組織は自然に縮小し,47年の消防団令で廃止され,新たに民主的な〈消防団〉が誕生した。
消防団の設置根拠である消防組織法の現在の規定では,市町村が消防団を設置し市町村長が管理し,また消防団の設置,名称および区域は市町村条例で定めることとし,消防本部を置く市町村では消防団は消防長または消防署長の所轄のもとに行動することとされ,さらに消防団長は消防団の推薦に基づき市町村長が任命し,団長以外の団員は市町村長の承認を得て消防団長が任命することとなっている。
執筆者:桑原 稔
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消防本部、消防署と並ぶ市町村の消防機関の一つで、主として火災の警戒および鎮圧、その他の災害の防除および被害の軽減に従事する機関をいう。1947年(昭和22)の消防団令により設置され、消防組織法(1948年施行)で公的な機関として位置づけられている(9条)。また、消防団の設置、名称および区域は市町村の条例で定め、その組織は市町村の規則で定めることとされている(同法18条)。消防団は、郷土愛護の精神に基づいて有志により組織されている市町村の機関であり、その団員は、日常はそれぞれの職業をもちながら、水火災などの災害が起こったときに招集されて消防活動に従事するといった非常勤特別職の地方公務員である。昼間、消防団員が仕事で地元を離れることが多く、即応体制をとることがむずかしい場合、自治体職員により消防団を構成し、常備消防と連携する常備部を置いているところもある。
消防団の任務は、消防本部または消防署とまったく同一であるが、機能上からみると、たとえば、(1)屋外における火災予防上危険な行為の規制または屋外における消防活動上支障となるものの除去命令権(消防法3条)、(2)火災予防上の措置命令権(同法4条)、(3)建築許可などについての同意権(同法7条)、(4)危険物仮貯蔵、仮取扱いの承認権(同法10条)、(5)火災の原因および損害の調査権(同法31条)などの権能は消防団にはないなど、両者には明らかな差異がある。2023年(令和5)4月1日の時点で消防団員は全国で76万2670人である。
[次郎丸誠男]
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