自然価格(読み)シゼンカカク(その他表記)natural price

デジタル大辞泉 「自然価格」の意味・読み・例文・類語

しぜん‐かかく【自然価格】

正常価格せいじょうかかく

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「自然価格」の意味・読み・例文・類語

しぜん‐かかく【自然価格】

  1. 〘 名詞 〙 生産費利潤を加えた価格市場で成立する価格を規制する役割をもつ。経済学では古典学派の価格論においていう。〔最新百科社会語辞典(1932)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「自然価格」の意味・わかりやすい解説

自然価格
しぜんかかく
natural price

市場において、毎日変化する需要供給によって成立する市場価格の奥にあって、市場価格を規制し、長い目でみるとそこに価格が落ち着くとされる価格。したがって、自然価格をめぐって市場価格は変動する。スミスに始まる古典学派の概念であるが、これを投下労働価値説により、より明確にしたのがマルクス生産価格であった。こうした考え方は、自然賃金自然利子率など経済理論にしばしば現れるが、最近の好例は、マネタリズム自然失業率である。

[一杉哲也]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「自然価格」の意味・わかりやすい解説

自然価格
しぜんかかく
natural price

A.スミス,D.リカードに代表される古典学派の価格理論の重要な概念。スミスは,市場価格はそのときどきの需要供給によって変動する現実に成立する価格であるが,市場価格の変動の中心となる価格を自然価格とした。彼のいう自然価格は,需給が均衡している場合に成立する均衡価格でもある。リカードは,市場価格は同様に需給関係で定まる現実の価格であるが,自然価格は彼の投下労働価値論に立脚したものであり,地代を価値の原因から排除したので,彼のいう自然価格は賃金と利潤とに等しくなる。 K.マルクスは彼らの伝統を批判的に継承して生産価格概念を成立させ,A.マーシャルは長期正常価格という概念に結実させた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「自然価格」の意味・わかりやすい解説

自然価格【しぜんかかく】

生産価格

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の自然価格の言及

【価値】より

…この場合,たとえば市場均衡におけるように理想的に決定された価格がとりもなおさず価値だとみなされているわけである。 このことを端的に示すのがA.スミスの自然価格natural priceの概念である。これは自然状態にある価格をもって価値とみなす仕方であり,価値と価格とは概念的に同次元にある。…

※「自然価格」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、和歌山県串本町の民間発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げる。同社は契約から打ち上げまでの期間で世界最短を目指すとし、将来的には...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android