デジタル大辞泉
「自然失業率」の意味・読み・例文・類語
しぜん‐しつぎょうりつ〔‐シツゲフリツ〕【自然失業率】
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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しぜん‐しつぎょうりつ‥シツゲフリツ【自然失業率】
- 〘 名詞 〙 経済の長期均衡状態にあっても存在する失業率のこと。景気の動きとは無関係に労働市場の構造から生じる失業をいう。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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自然失業率 (しぜんしつぎょうりつ)
natural rate of unemployment
物価水準が安定しているかまたはその変化率が一定となるような失業率をいい,それよりも失業率を低く保とうとするときには物価上昇が加速すると考えられている。自然失業率下における失業者は,より良い職を求めて自発的に失業しているとみなされ,この状態は一種の完全雇用状態といえる。A.W.フィリップスの研究(1958)以来,多くの国でフィリップス曲線すなわちインフレーションと失業率とのトレードオフ関係の存在が確認されてきた。しかしE.S.フェルプス,M.フリードマンらは1960年代末に,フィリップス曲線は予想物価上昇率とともにシフトし,予想物価上昇率と現実のそれとが一致する長期においては失業率は自然率に落ち着き,インフレーションと失業率のトレードオフ関係がなくなると主張した。現実に,インフレ率の高い経済においては,それを裏づけるような傾向が現れてきた。
執筆者:藪下 史郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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自然失業率
しぜんしつぎょうりつ
natural unemployment rate
期待インフレ率と現実のインフレ率が一致し,実質賃金による労働力需給の調整が達成されるような長期均衡状態において成立する失業率。 M.フリードマンによって提唱された。自然失業率の水準は,財市場,労働市場の構造的・制度的条件,つまり市場の不完全性,需給の確率的変動,情報収集コスト,移動コストなどによって規定される。この自然失業率は J.M.ケインズの完全雇用における失業率に近い概念といえる。またフリードマンはフィリップス曲線について,期待で修正されたフィリップス曲線を想定し,期待と現実の物価上昇率が一致するという意味での長期のフィリップス曲線は垂直であり,どのような財政金融政策がとられたとしても,失業率を一時的に自然失業率以下に低下させることは可能であるが,長期的には自然失業率を下回ることはできず,最終的にはインフレのみが生じるとしている。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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自然失業率【しぜんしつぎょうりつ】
物価水準が安定しているか,またはその変化率が一定となるような失業率。A.W.フィリップスによって,賃金上昇率が高いほど失業率は低く,逆のときは失業率は高いという関係が英国の19世紀半ばから20世紀半ばまでのデータによって示され,それ以降,さらに物価上昇率が高くなることと失業率の低下が対応すると広く信じられた。この〈トレードオフ〉の関係を示す曲線がフィリップス曲線で,ここでは物価上昇率をゼロにするような失業率を自然失業率という。これは,失業率の低下のためにはインフレの悪化はやむをえないという考え方の根拠とされた。これに対しM.フリードマンは,予想物価上昇率が現実の上昇率と一致するような長期においては失業率は物価上昇率とのトレードオフ関係を失い,自然率に落ち着くとした。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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世界大百科事典(旧版)内の自然失業率の言及
【フィリップス曲線】より
…フィリップス曲線に基づくインフレ理論は,この現象を説明することはできない。フリードマンは人々のインフレ予想が異なるとき,一つの失業率に対して多数のインフレ率が存在しうることから,真の長期のフィリップス曲線は垂直な線であるとし,この線に対応する失業率を〈[自然失業率]〉と呼んだ。現在では〈自然失業率〉という考えのほかに,フィリップス曲線に上記のインフレ予想の影響を考慮した〈修正フィリップス曲線ogmented Phillips curve〉という概念(一般に元のフィリップス曲線よりも急な負のこう配をもち,極限的には垂直となる)が学問的にも正しいとして広く用いられている。…
※「自然失業率」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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