日本大百科全書(ニッポニカ) 「自然砒」の意味・わかりやすい解説
自然砒
しぜんひ
arsenic
半金属元素鉱物の一つ。アーセノランプライトarsenolampriteおよびパラアーセノランプライトpararsenolamprite(いずれも斜方)とは同質異像関係にある。ある種の低温熱水鉱床、噴気性鉱床、接触交代鉱床(スカルン型鉱床)中に産し、また岩塩鉱床に伴われる硬石膏(せっこう)の集合中に産する。日本では福井県美山(みやま)町(現、福井市赤谷(あかたに)町)赤谷鉱山(閉山)の変質流紋岩中に産する金平糖(こんぺいとう)様の集合が有名であった。多く不定形塊状あるいは層状集合をなす。英名は石黄(雄黄)を意味するギリシア語arsenikonに由来する。石黄が主成分としてヒ素を含むことによる。
[加藤 昭 2017年5月19日]