日本大百科全書(ニッポニカ) 「臭化カリウム」の意味・わかりやすい解説
臭化カリウム
しゅうかかりうむ
potassium bromide
カリウムと臭素の化合物。俗にブロムカリというが正しくない。天然の鉱物中にもみいだされるが、工業的には臭素を水酸化カリウム水溶液と反応させて製造する。
3Br2+6KOH
―→5KBr+KBrO3+3H2O
副生する臭素酸カリウムの分離には、冷却して結晶化する方法がとられるが、一部母液に残留するものは、二酸化硫黄(いおう)で還元して臭化カリウムに変えられる。このほか、臭化水素と水酸化カリウムを混合、反応させる方法も用いられる。白色結晶性の固体。水によく溶け、アルコールにも溶ける。単結晶は可視部から波長25マイクロメートルまでの赤外線に対して透明なので、赤外線分光測定用のプリズムや錠剤の媒質として多用される。また、写真用臭化銀の製造原料、現像液、化学用試薬、神経鎮静剤に使用される。
[鳥居泰男]