水酸化カリウム(読み)すいさんかカリウム(英語表記)potassium hydroxide

  • すいさんかカリウム スイサンクヮ‥
  • すいさんかカリウム〔スイサンクワ〕
  • 水酸化カリウム potassium hydroxide

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

化学式 KOH 。カセイカリともいう。工業上は塩化カリウム溶液の電解によって製造する。無色ないし淡黄色の塊。棒状あるいは粒状で市販される。腐食性強く,組織を破壊する。空気中から湿気や二酸化炭素を吸収して潮解する。融点約 360℃。水,アルコールグリセリン可溶。水,アルコールに溶かすと多量の熱を発生する。密栓して保存し,手,皮膚に直接触れないように取扱わねばならない。特に溶液を扱うときは,飛沫が目に入らないように保護メガネを着用する必要がある。カリ石鹸カリガラスの製造,染料合成,分析試薬,二酸化炭素の吸収剤などに使われるが,高価なため工業的には水酸化ナトリウム (カセイソーダ) ほど広くは使われない。

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百科事典マイペディアの解説

化学式はKOH。比重2.05(25℃),融点360.4℃,沸点1320〜1324℃。無色潮解性の結晶苛性カリとも。水に溶かすと発熱し,水溶液は強アルカリ性。アルコールにも可溶。腐食性強く,一般に水酸化ナトリウムよりも化学作用が強い。有機化合物の合成,そのほか化学試薬として重要。カリガラス,軟セッケンなどの製造に使用。塩化カリウム水溶液の電解,または炭酸カリウム石灰水で苛性化してつくる。

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世界大百科事典 第2版の解説

化学式KOH。工業用あるいは俗称として苛性(かせい)カリcaustic potashともいう。
性質
 潮解性の強い無色の固体。室温では水酸化ナトリウムと同形の斜方晶系α型,高温では岩塩型立方晶系のβ型。転移温度248℃。融点360.4℃。沸点1320~1324℃。比重2.05(25℃)。融解熱1.80kcal/mol。生成熱102.7kcal/mol。反磁性で磁化率-0.590×10-6emu。水に溶けるとき多量の熱を発生する。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

カリウムの水酸化物。カ性カリcaustic potashともいう。カ性とは「皮膚を侵す」の意である。古くは炭酸カリウムを水酸化カルシウムで複分解する方法(カ性化法)で製造されたが、今日では塩化ナトリウムから水酸化ナトリウムを製造するのと同様に、塩化カリウム水溶液を電解する方法が用いられる。この場合、黒鉛陽極と鉄陰極をアスベスト製有孔膜で隔離して行う隔膜法と、水銀陰極を用いる水銀法とがある。製品の純度は水銀法のほうが高い。市販品は普通半球形の錠剤または棒状に成形されている。

 無色、斜方晶系の結晶で、水酸化ナトリウムと同型の構造をとるが、248℃以上では立方(等軸)晶系に転移し、塩化ナトリウム型となる。潮解性で、空気中に放置すると湿気を吸って溶け、二酸化炭素を吸収して炭酸カリウムとなる。水に溶けるとき多量の熱を発する。水溶液は強いアルカリ性を示す。アルコール類にもよく溶け、その溶液は各種の反応に用いられる。水酸化カリウムは水酸化ナトリウムとよく似た化学的性質をもつが、一般にそれよりも激しい。一、二および四水和物も知られている。

 各種カリウム化合物、カリガラス、軟せっけん、染料(インジゴなど)、合成繊維原料(テレフタル酸など)などの製造に用いられるほか、アルカリ電池、分析試薬、二酸化炭素吸収剤などに用いられる。劇薬(許容濃度1立方メートル当り2ミリグラム)なので、取扱いには水酸化ナトリウムと同様、密栓して保存するなど注意が必要である。

[鳥居泰男]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (カリウムはKalium) カリウムの水酸化物。化学式 KOH 常温で白色。単斜晶系結晶のα(アルファ)型と、高温で等軸晶系に転移したβ(ベータ)型の二つの変態がある。水溶液は強アルカリ性で腐食性が強い。劇薬。カリウム塩・カリ石鹸などの製造、染料の合成、二酸化炭素の吸収剤、分析試薬、アルカリ電池などに用いられる。苛性カリ。カリ。ポッタース。

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化学辞典 第2版の解説

KOH(56.11).カセイカリともいう.塩化カリウム水溶液を隔膜を用いて電解すると陰極室に得られる.無色半透明の固体.常温では斜方晶系水酸化ナトリウムと同型.248 ℃ で等軸晶系岩塩型構造のβ形に転移する.密度2.05 g cm-3.融点360.4 ℃,沸点1320 ℃.潮解性で,水100 g に対する溶解度は97 g(0 ℃),112 g(20 ℃),178 g(100 ℃).エタノールに可溶,エーテルに不溶.もっとも強いアルカリで,化学的性質は水酸化ナトリウムによく似ているが,腐食性,二酸化炭素や水の吸収能は水酸化ナトリウムよりも強い.一,二および四水和物が存在する.カリガラス,軟せっけん,カリウム塩,アルカリ蓄電池,マッチの製造,二酸化炭素の吸収剤,分析試薬,有機合成などに用いられる.劇薬であり,眼や皮膚に触れないように注意する.[CAS 1310-58-3]

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世界大百科事典内の水酸化カリウムの言及

【カリ】より

…海藻灰(主成分はK2CO3)をあらわすアラビア語qāliに由来。カリ球,酒精加里などと呼ぶ場合のカリは水酸化カリウム(苛性カリ)を意味する。カリウムの略称として塩化カリ,炭酸カリ,過マンガン酸カリのように呼ぶことがあるが,正しくは〇〇カリウムと呼ぶのがよい。…

※「水酸化カリウム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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