船木郷(読み)ふなきごう

日本歴史地名大系 「船木郷」の解説

船木郷
ふなきごう

和名抄」諸本にみえる郷名。東急本に「布奈木」の訓がある。「遠江国風土記伝」は青柳あおやぎ以下の湯日ゆい谷八村、すなわち現吉田よしだ神戸かんど青柳から現島田市南原みなみはら・船木・湯日付近、「大日本地名辞書」は初倉はづくら村船木(現島田市船木付近)の地とする。


船木郷
ふなきごう

「和名抄」は諸本ともに訓を欠くが、舟木庄などの表記から(寿永三年四月二四日「源頼朝下文案」賀茂別雷神社文書)、フナキであろう。郷名は承保元年(一〇七四)三月二日の近江国奥島庄司解(長命寺文書)にみえ、庄司土師助正が蒲生下郡船木郷の先祖相伝地七段を長命ちようめい(現近江八幡市)に施入したという。寛喜三年(一二三一)一二月一六日の紀守安畠地売券、宝治二年(一二四八)一二月二六日の僧良覚田畠寄進状案(ともに同文書)などにも郷名はみえる。


船木郷
ふなきごう

「和名抄」高山寺本・元和古活字本のいずれも訓を欠く。他国の船木郷で訓をもつものには「布奈木」(東急本)とあり、当郷も「ふなき」と読んでいたものと考えられる。郷域について、「大日本地名辞書」は、現名古屋市守山もりやま区南部にあてる。「日本地理志料」は「内津、西尾、明知、神屋、外原、迫間、白山大山、野口諸邑」とし、現春日井市北東域から小牧市の一部に及ぶ一帯比定する。


船木郷
ふなきごう

「和名抄」所載の郷。同書高山寺本など諸本とも訓を欠くが、フナキであろう。船木部が置かれ、造船用材を扱った地であるという。中世には舟木とみえ、江戸時代には船木台ふなきだい村・小船木こぶなき(現銚子市)として郷名が継承されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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