ベネチアのゴンドラこぎの歌を模した曲。「バルカロール」あるいは「ゴンドラの歌」は、18世紀には民謡として旅行者の人気を得ていたが、芸術音楽に取り入れられたのはロマン派時代である。ゆっくりとした6/8拍子または12/8拍子をとり、波に揺れる小舟を表す単調な伴奏と感傷みを帯びた曲想を特徴とする。声楽曲としてはオペラのアリアに用いられ、オッフェンバックの『ホフマン物語』の舟歌が代表例。ウェーバーの『オベロン』、ベルディの『オテロ』にも類例がある。器楽曲としてはおもにピアノ曲に用いられ、ショパンの作品60、メンデルスゾーンの『無言歌』のなかの三曲の「ベネチアの舟歌」、フォーレの13曲などが知られる。
[大久保一]
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