花火・煙火(読み)はなび

精選版 日本国語大辞典 「花火・煙火」の意味・読み・例文・類語

はな‐び【花火・煙火】

〘名〙 火薬に色火剤・発音剤などを調合し、筒や玉に詰めたもの。また、それに点火したとき、爆発・燃焼して出る光・火花・煙・音など。空中高く打ち上げて破裂させる打上げ花火、物の形や模様を描く仕掛け花火、線香花火やねずみ花火などの玩具花火に大別される。観賞用のほか、通信用のものもある。煙火。《季・夏‐秋》
※伊達家文書‐天正二年(1574)一一月一三日・伊達輝宗日記「同夜はな火候」
※俳諧・蕪村句集(1784)秋「花火せよ淀の御茶屋の夕月夜
[語誌](1)鉄砲伝来以降、武器の一種として伝わった。ヨーロッパでは通信用として、軍の進退などを示すために打ち上げたというが、日本では、当時の火術専門家がこれを軽視し、民間の技となった。
(2)慶長一八年(一六一三)、徳川家康が、唐人の上げた娯楽用の花火を見物したといい、その頃より花火師が現われた。町では、ねじり、線香流星、鼠などの子ども用の花火も流行したが、瓦屋根が少ない江戸の町では火事の元ともなり、町中で打ち上げることに対する禁令が度々出された。
(3)場所を水際に限られてからも人気は衰えず、元祿の頃には町人の花火師による茶屋花火、花火船などで賑わった。その時期が旧暦五月二八日から八月二八日に定められたので、その初日を「川開き」と称し、隅田川の両国橋付近で大花火をあげるようになった。
(4)花火の季節について、江戸時代俳書はおおむね秋とする。盂蘭盆景物であったためと思われる。だが、花火が盆の行事というよりむしろ納涼の催しとなったことなどから、夏の季題感じが強くなった。

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