祝賀行事や外国貴賓歓迎または観光祭りなどのとき運転される装飾電車。祭りの花山車(だし)や花馬車の風俗を電車にも適用したものであろう。車体の外部を造花、モール、旗、紅白幕、色電球などで飾りたて、初めは乗客も乗せたが、のちには走るのを観賞するだけのものとなった。花電車の始まりは、1905年(明治38)に東京の市電が行った日露戦争凱旋(がいせん)将兵歓迎のもの。その後、東京では28年(昭和3)の御大典記念など十数回行われ、第二次世界大戦後も59年(昭和34)の皇太子御成婚を祝って行われたが、交通事情悪化のためこれを最後になくなった。しかし、路面電車廃止にあたって最終日に運行されるお別れ花電車は、その後も行われた。
[山内まみ]
出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
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