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芸術学 げいじゅつがくKunstwissenschaft

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

芸術学
げいじゅつがく
Kunstwissenschaft

広義には各個「芸術の科学」 science of artをさすが,狭義には 19世紀後半~20世紀,ドイツにおいて美学と対立的ないし並立的に提唱された「芸術学」「一般芸術学」をさす。 K.フィードラーでは美と芸術の問題は明確に区別されて論じられたが,芸術学という術語は用いられなかった。

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デジタル大辞泉の解説

げいじゅつ‐がく【芸術学】

芸術一般に関し、理論的考察を行う学問。特に、芸術活動を実証的、科学的に研究する学問。19世紀後半から20世紀初頭にかけ確立、発展した。

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世界大百科事典 第2版の解説

げいじゅつがく【芸術学】

芸術学という用語は,ドイツ語Kunstwissenschaftの訳語として始まり,すでに定着したが,イギリスアメリカフランスなどではこれに相当する語(例えばscience of art)は慣用されていない。Kunstには〈芸術〉と〈造形美術〉の広狭二義があり,それに応じて芸術学も多義的である。(1)最広義では芸術に関するあらゆる学問的研究を総称する。この場合,諸芸術に共通する法則の理論的研究を一般芸術学と呼んで,音楽学,美術学,文芸学など個々の芸術ジャンルに携わる特殊芸術学から区別することがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

芸術学
げいじゅつがく
science of art

芸術に関する思索のうちには、エッセイ形式の観察や批評、芸談に類するもののように芸術とよぶべきものと、思想家が独立した研究領域として展開する芸術とがある。西洋の思想史を概観すれば、18世紀以前は芸術論の時代にすぎなかったといってよい。そのなかでほとんど唯一の例外はアリストテレスである。理論学と実践学と並べて制作学としての「詩学」(文芸創作の理論)を第三の学問領域としてたてた彼は、芸術学の祖とよぶにふさわしい。ピタゴラス派からボエティウスに至る音楽論は学問的ではあるが、数的関係とその調和を主題とするものであって、純粋に芸術の学とはいえない。古代においてこのほかにあったのは、史書や伝記、旅行記、博物学などのなかに展開された芸術観察を除けば、芸術家自身の綴(つづ)った技法書である。芸術論はルネサンス期に一つの興隆期を迎えるが、そこでも同じ性格が認められる。この「芸術家の美学」から学者の美学が生じ、芸術論だけでなく、学問的領域として芸術学が確立してくるのが18世紀である。[佐々木健一]

芸術論から芸術学へ

それはまさに芸術という概念の成立する時代であり、芸術美の哲学としての美学を提唱したバウムガルテンと、芸術史(美術史)を創始したウィンケルマンとが、その象徴的存在である。以後、とくに芸術の原理的考察についていえば、それは美学として展開してきた。なぜならば人々は、芸術の本質が美の体験にあり、美のもっとも高度な形態が芸術にあると考えたからである。シェリングのような哲学者が美学といわずに芸術哲学を標榜(ひょうぼう)したのは、美学をさすsthetikという語が、本来「感性学」の意味であることを嫌ったためである。そして美と芸術との関係についての反省のなかから、美学と区別した芸術学という主張が生まれてくる。その先駆けとなったのはフィードラーKonrad Fiedler(1841―95)であり、彼は、美が快感情の問題であるのに対して、芸術は形象をつくりあげ、その感覚形象を通して真理の認識を達成するのが本領であると主張した。[佐々木健一]

芸術学の成立と発展

この主張を受けて、19世紀後半のドイツにおいて芸術学は名実ともに成立する。まず芸術学Kunstwissenschaftという名称とともに、芸術の研究を美学から独立させようとしたのは、デッソワーMax Dessoir(1867―1947)とシュピッツァーHugo Spitzer(1854―1937)であり、さらに理論化を深めたのがウーティッツEmil Utitz(1883―1956)である。デッソワーは、個々の芸術ジャンルの理論的考察を旨とする個別芸術学と一般芸術学を区別し、個別芸術学の成果を総合しその基礎づけを行う課題を一般芸術学にゆだね、1906年には『美学一般芸術学雑誌』Zeitschrift fr sthetik und allgemeine Kunstwissenschaftを創刊した。ウーティッツが力説したのも、芸術の事実と現実に密着してその本質を問うことである。そしてフィードラー以来の思潮を踏まえて、芸術が独特の形成活動であること、そしてこの形成活動のなかには美的な要素だけでなく、宗教的、倫理的、知的、性的などの要素が取り入れられ、これらいっさいが感情体験に向けて芸術作品に結晶化されると考えた。
 このように一般芸術学は、芸術を唯美的思想から解放し、豊かな可能性を芸術に返したが、芸術の実相に即して考えるという態度は個別芸術学の発展と歩調をあわせていた。西欧語の芸術という語(Kunst ; art)は狭くは美術をさすから、芸術学とは美術学でもある。ヘーゲル学派の精神科学の概念に対応して、このほかに文芸学、音楽学、演劇学などの個別芸術学が提唱され、展開され始めたのも19世紀後半のことである。これらの個別芸術学は、実証性を重んずる立場から、少なくとも当初はおしなべて芸術史研究がその実質をなし、その一つの発展形態として、これも当時の潮流に沿って、比較文学や比較芸術学などの比較研究を生み出したが、やがてそれぞれのジャンルの本質をめぐる理論的研究にも取り組むようになってきている。[佐々木健一]

実証的方法による芸術研究へ

個別芸術学が発展し続けて現在に至っているのにひきかえ一般芸術学のほうは、少なくとも「美学か芸術学か」として位置づけられるようなそれは、すでに過去のものとなっている。美学そのものが一般芸術学の主張を取り入れて変貌(へんぼう)を遂げるとともに、両者を対立させることは無意味になってしまった。そして芸術学という名称そのものは、「学」の性格を強調し、美学が哲学的であるのに対して、科学的ないしは少なくとも実証的な方法による芸術研究をさすように変化してきている。光学や音響学や工学のような補助学や、X線撮影のような補助手段の利用を除いて、芸術の科学に注目すれば、それはフェヒナーの実験美学を嚆矢(こうし)とし、それ以後、芸術体験の科学的心理学が主たるものであった。しかし20世紀後半になると、情報理論や統計学の応用、構造主義や記号論の展開のなかに、学的性格を強調した芸術学が大きな成果をあげるようになってきた。その成果が芸術哲学としての美学に影響を及ぼし、新しい展望を開きつつあることはいうまでもない。[佐々木健一]
『竹内敏雄編『美学事典』増補版(1974・弘文堂)』

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世界大百科事典内の芸術学の言及

【社会科学】より

…経営学,行政学,教育学などは,それぞれ企業,官庁,教育組織という特定領域の問題を専攻する領域学で,学問分野としては経済学や政治学や社会学や心理学に還元される(経営経済学,経営社会学,経営心理学等々)。宗教学や言語学や芸術学などは,社会学,心理学に還元される部分(宗教社会学,宗教心理学等々)以外は,人文学に属するものと考えておきたい。最後に歴史学は,人文学と社会科学にまたがる広大な学問で,社会科学に属する部門は経済史,政治史,社会史,法制史などとして,それぞれの個別社会科学の歴史部門を構成する。…

【美学】より

…だが諸文化のなかで美についての学問的探究をいちはやく展開したのは古代ギリシアであり,以来美学的思想の主潮はやはり西欧に流れてきたとみなければならない。 美のイデアを説いて美の哲学の基を築いたプラトン,悲劇を論じた《詩学》によって芸術学の始祖となったアリストテレス,はじめて独立の美論をまとめたプロティノス,ローマにおいては修辞学上の著作をもつキケロおよびクインティリアヌス,古代末期から中世に移れば神学的美論を説くアウグスティヌスやトマス・アクイナス,ルネサンスでは各種の美術論や詩学を述べる美術家や文人たち,これらはいずれも深く沈潜して傾聴すべき人々である。近世に入るや感性に対する新たな照明と相まって17世紀から18世紀前半にわたり美学成立の機運が生じた。…

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