改訂新版 世界大百科事典 「リーグル」の意味・わかりやすい解説
リーグル
Alois Riegl
生没年:1858-1905
オーストリアの美術史家。ドナウ河畔リンツに生まれる。1886-97年オーストリア工芸美術館館員となり,1885年ウィーン大学講師,95年員外教授,97年正教授に就任する。美術作品は各時代および各民族の〈芸術意欲Kunstwollen〉の表れであるという観点に立ち,美術の流れを完成と衰退の繰返しと見なす従来の古典主義的美術史観をしりぞけ,また美術を素材,技術,使用目的から規定しようとする唯物論的見解を是正し,あらゆる美術様式にその独自な歴史的地位と役割を認める進化論的美術史観を提唱した。おもな著書は《様式論--文様史の根本問題》(1893。第2版1923),《オーストリア出土の後期ローマ時代の工芸品》(第1巻1901,第2巻1923,新版1927),《造形芸術の歴史的文法》(遺稿。1966)など。
執筆者:中山 典夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報