リーグル(読み)りーぐる(英語表記)Alois Riegl

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リーグル」の意味・わかりやすい解説

リーグル
Riegl, Alois

[生]1858. リンツ
[没]1905. ウィーン
オーストリア美術史家。ウィーン大学卒業後,ウィーン美術史美術館に勤務,1897年ウィーン大学教授。古代の装飾文様の様式を研究,またエジプトギリシアローマの美術の発展を 3段階に分けて分析し,後期ローマ時代が必ずしも衰退期とはいえないことを論証。各様式の奥に内在する「芸術意思」の存在を主唱して,ゴットフリートゼンペルの技術の発展を重視する唯物論的見解と対立した。またヨーロッパ以外の美術も高く評価し,リーグルの美術史観はマックスドボルシャックに継承され,ウィーン学派の発展に貢献した。主著『美術様式論』Stilfragen (1893) ,『末期ローマの美術工芸』Die spätrömische Kunstindustrie (1901) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「リーグル」の意味・わかりやすい解説

リーグル
りーぐる
Alois Riegl
(1856―1905)

オーストリアの美術史学者。初め法律、哲学、歴史などを学んでから美術史に転向。オーストリア歴史研究所、美術工芸博物館などで研究を続け、ウィーン大学教授となる。美術史学におけるいわゆるウィーン学派の祖。「芸術意欲」の概念を基礎としながら実証的、分析的に美術の発展史を論じた。主として古代と中世東方西欧の美術様式の関連を考察し、世界美術史的な構想を示している。主著『美術様式論――装飾史の基本問題』(1893)がある。

鹿島 享]

『長広敏雄訳『リーグル美術様式論』(1970・岩崎美術社)』

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