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芸術哲学 げいじゅつてつがくPhilosophie de l'art

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

芸術哲学
げいじゅつてつがく
Philosophie de l'art

フランスの哲学者,批評家イポリット・テーヌ芸術論。5冊の著作から成り,1865~69年刊。 82年に2巻本として統合。パリの美術学校での講義から生れた。第1部で芸術作品を概説し,以下イタリア・ルネサンス,ネーデルラント,ギリシア彫刻を主題として歴史的実証的研究を行い,最後に価値論を展開。『イギリス文学史』 (4巻,1863~64) に示された人種,環境,時代の3要素などが芸術様式を決定するとして自然科学的決定論を美学に適用した彼の前期思想の集大成

芸術哲学
げいじゅつてつがく
philosophy of art

芸術の本質,あるいは現象について,その原理を考察する哲学の一部門。一般的には,美学,芸術学と同義。狭義には,19世紀後半,美そのものを考察の対象とする美学に対して,それでは取扱えない芸術の分野の存在を主張し,芸術事象一般を心理主義的価値論によって哲学的に基礎づけようとした M.デッソアールや E.ウーティッツらの立場をさす。しかし,自然に対置される人工の作品はすべて芸術作品と考えることも可能であることからもわかるように,何が芸術かは定義しがたい。したがって芸術哲学の厳密な定義づけもまた至難である。また個々の作品を吟味する芸術批評とも異なる。

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デジタル大辞泉の解説

げいじゅつてつがく【芸術哲学】

《原題、〈フランス〉Philosophie de l'artテーヌの評論。1865年から1869年、および1882年に刊行。文学・芸術の分野における歴史的・社会的研究理論を確立した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

芸術哲学
げいじゅつてつがく
Philosophie de l'art

19世紀フランスの哲学者で批評家テーヌの美学の代表作。1881年刊。美術学校での講義をまとめた5編の論文からなり、フランス自然主義文学の理論的根拠となったものである。本書は、美学を思弁から解放し、実証科学たらしめようという意図に貫かれている。まず、芸術作品が広義の環境によって決定されることを論じ、その目的を自然の客観的な様式的再現に求める。ついで、イタリア・ルネサンス絵画、オランダ絵画、ギリシア彫刻を例に、『イギリス文学入門』(1863)が文学作品に試みたのと同じく、芸術作品を決定する外的条件を具体的に指摘しようとする。最後に、芸術作品評価の原理を提出し、批評の役割として、作品に対する単なる説明を超えた倫理的価値判断をも確保しようと努めている。[香川知晶]

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世界大百科事典内の芸術哲学の言及

【芸術学】より

…こうしてシェリングは芸術研究を基礎づけるのは哲学しかないとし,ヘーゲルは在来の経験的芸術研究と抽象的な美の哲学を統合して美学を〈芸術の学〉と定めている。その後も近くはクローチェにみるように,本来の美を芸術にしか認めぬ学説では,美学がまさしく芸術学であり芸術哲学Kunstphilosophieであることになる。ひろく通用する芸術学の語に包括的体系性が感じられるのは,このような哲学的動向に支えられてのことである。…

※「芸術哲学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

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