19世紀フランスの哲学者で批評家テーヌの美学の代表作。1881年刊。美術学校での講義をまとめた5編の論文からなり、フランス自然主義文学の理論的根拠となったものである。本書は、美学を思弁から解放し、実証科学たらしめようという意図に貫かれている。まず、芸術作品が広義の環境によって決定されることを論じ、その目的を自然の客観的な様式的再現に求める。ついで、イタリア・ルネサンス絵画、オランダ絵画、ギリシア彫刻を例に、『イギリス文学入門』(1863)が文学作品に試みたのと同じく、芸術作品を決定する外的条件を具体的に指摘しようとする。最後に、芸術作品評価の原理を提出し、批評の役割として、作品に対する単なる説明を超えた倫理的価値判断をも確保しようと努めている。
[香川知晶]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…こうしてシェリングは芸術研究を基礎づけるのは哲学しかないとし,ヘーゲルは在来の経験的芸術研究と抽象的な美の哲学を統合して美学を〈芸術の学〉と定めている。その後も近くはクローチェにみるように,本来の美を芸術にしか認めぬ学説では,美学がまさしく芸術学であり芸術哲学Kunstphilosophieであることになる。ひろく通用する芸術学の語に包括的体系性が感じられるのは,このような哲学的動向に支えられてのことである。…
…これを契機として《批評および史論集》(1858),その続編(1865)などにおさめられた批評的労作がつぎつぎに発表されたが,それらは,彼のゆたかな想像力と事実に対する鋭敏な感覚に支えられて,フランスの文学批評に注目すべき一時期を画した。大著《イギリス文学史》(1864)および《芸術哲学》(1865‐69)は,彼の理論と方法を民族の文化に一貫して適用した力強い著作である。科学的批評の原理はテーヌによって明らかにされ,文学の歴史的・社会的研究はここに一応の体系化をみた。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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