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芸術心理学 げいじゅつしんりがくpsychology of art

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

芸術心理学
げいじゅつしんりがく
psychology of art

芸術作品,芸術活動,芸術家などを含めて,広く芸術研究対象にする心理学。現状では,まだ完全な体系が樹立されているとはいえないが,歴史的にみて,2つの研究方向に大別される。その一つは,芸術そのものを心理学的な方法で研究しようとするもの。もう一つは,心理学的な研究の範囲に属しながら芸術研究に関与しうるもの。前者は,美学,芸術学の流れから派生したもので,各ジャンルごとに研究対象が求められ,研究対象に応じてその研究法に差異が現れている。後者は,心理学本来の流れのうちから生れたもので,心理学的な観点から問題が扱われ,心理学理論を援用することによってその分析が試みられる。特にゲシュタルト理論を応用した R.アルンハイムの芸術理論が有名。これらの研究で扱われる問題は,たとえば,美的印象を与える刺激対象の特性や美的享受の問題,象徴や様式の問題,さらには芸術家の内面的な動機,そのパーソナリティ,作品とそれを受ける読者や鑑賞者,観客の心理学的問題というように多岐にわたっている (→音楽心理学 ) 。

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デジタル大辞泉の解説

げいじゅつ‐しんりがく【芸術心理学】

心理学の理論と方法とによって、芸術を研究・解明しようとする学問分野。創作と鑑賞の二つの面が対象となり、美術文芸・音楽などの部門別にも細分されている。

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世界大百科事典 第2版の解説

げいじゅつしんりがく【芸術心理学 psychology of arts】

芸術を心理学的理論に基づいて分析,研究し,その成果を応用しようとする心理学の一分野。その研究対象は,絵画のような視覚的芸術から音楽,文芸,演劇,映画にまで及び,それらの創造過程や作品鑑賞の過程についての解明を目的としているが,さらに芸術作品の比較文化的研究や精神異常者の手になる作品の病理学的研究なども含まれている。歴史的には主として芸術鑑賞過程の研究に〈実験美学〉の手法をとり入れたG.T.フェヒナーや〈美的感情移入〉の理論を説いたT.リップスなどの業績をあげることができるが,これらはその後,視覚芸術に対するゲシュタルト心理学および創造活動の動機解明への精神分析学の導入となって発展してきている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

芸術心理学
げいじゅつしんりがく
psychology of art

芸術活動、あるいは芸術的創造活動を心理学的な方法によって研究したり、心理学の原理によって分析・解釈したりする心理学の一部門。芸術は表現形式から絵画、彫刻、建築、演劇、舞踊、文芸、音楽などに分けられ、それぞれを対象とする心理学的研究があるが、美しさを認知し、それを表現するという内面的活動を科学的に扱うためには、造形表現がモデル的に利用されやすい。したがって美術心理学(造形心理学)の研究が資料面ではもっとも豊かにみられる。また背景理論としては、ゲシュタルト心理学派の視知覚研究の成果、また精神分析学派の解釈理論がこの分野の研究を促進してきた。しかし最近では、環境心理学としてのヒューマン・スペースの研究、芸術表現をコミュニケーションと考える立場からの研究、あるいはイメージ研究など多様なアプローチが進められている。美術心理学ではその研究分野を四つに分けることができる。すなわち、(1)造形活動における視知覚、(2)空想と創造、(3)作家のパーソナリティー、(4)芸術作品、などに関する研究がそれである。また造形活動を通して、心理療法や療育を行おうという試みもある。
 視知覚研究では、形、色、材質、空間、距離、動き、図と地の構造、錯視など心理学の研究成果を直接活用できるところが大きい。またオランダのグラフィック・アーチスト、エッシャーのように、図と地の構造や錯視の原理を作品に応用した作品もみられる。創造性研究は美術の分野ばかりでなく、広く芸術に関係するが、天才的作家のケース研究を通して成果があげられている。精神分析学の芸術作品に対する解釈は無意識心理の原理を当てはめている。またその影響は超現実主義派の作品、あるいはアブストラクト芸術の発展に関係があるといわれている。最近では芸術作品についての比較文化的研究も少なくない。また、芸術活動を通して心の障害の回復を図る目的で、芸術療法が研究開発されるようになった。広く、「よい気分」の形成という視点から健康の維持・増進法として注目されている。芸術療法として絵画、造形、音楽、舞踊、遊戯など広範囲にその活動が利用されている。[本明 寛]
『ルドルフ・アルンハイム著、波多野完治・関計夫訳『美術と視覚』上下(1963、64・美術出版社) ▽相良守次他編『芸術心理学講座』全5巻(1957・中山書店)』

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