日本大百科全書(ニッポニカ) 「芸術文化振興基金」の意味・わかりやすい解説
芸術文化振興基金
げいじゅつぶんかしんこうききん
日本の芸術的活動を経済面から支援する基金。1990年(平成2)3月創設。政府からの出資金530億円、民間からの出捐(しゅつえん)金112億円を原資とし、その運用益を資金援助にあてている。運用は日本芸術文化振興会(独立行政法人)。助成は、「芸術家及び芸術に関する団体が行う芸術の創造又は普及を図るための活動」「地域の文化の振興を目的として行う活動」などの活動を対象に、原則、毎年度1回の募集を行っている。助成交付対象となる審査は、芸術文化振興基金運営委員会のもと、4部会(舞台芸術等、映像芸術、地域文化・文化団体活動、文化財)、11専門委員会により行われる。初年度にはオペラ『こうもり』(二期会オペラ振興会)、演劇『小林一茶』(こまつ座)など446件が、計21億2589万円の助成を受けた。2002年度までの助成金交付実績は9740件(応募1万9283件)、250億2301万円。
このほかに、日本芸術文化振興会では、文化庁の「芸術創造推進事業(アーツプラン21)」の一環として1996年度に舞台芸術振興事業を創設している。これは国からの補助金を財源に芸術団体の公演活動の支援をする。
[高三啓輔]
『「芸術振興基金」研究推進プロジェクト著『芸術文化振興基金の課題』(1990・日本芸能実演家団体協議会)』▽『村井健著『シチュアシオン』(1991・五柳書院)』▽『神谷国善・行方克也・菅井幸雄他著『文化のいま、これから』(1991・新日本出版社)』▽『岡本包治編著『現代生涯学習全集7 まちづくりと文化・芸術の振興 創造・継承・発展』(1992・ぎょうせい)』