デジタル大辞泉 「苛斂誅求」の意味・読み・例文・類語 かれん‐ちゅうきゅう〔‐チユウキウ〕【苛×斂×誅求】 《「誅」は責める意》情け容赦もなく、税金などを取り立てること。「―を事とせぬ政治家の皆無だった当時」〈中島敦・弟子〉 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「苛斂誅求」の意味・読み・例文・類語 かれん‐ちゅうきゅう‥チュウキウ【苛斂誅求】 〘 名詞 〙 ( 「誅求」は責め求めるの意 ) 税金などをきびしく取り立てること。むごい取り立て。苛斂。[初出の実例]「苛斂誅求(カレンチウキウ)を極めたので百姓等塗炭の苦しみに陥ち」(出典:江戸から東京へ(1921)〈矢田挿雲〉六) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
四字熟語を知る辞典 「苛斂誅求」の解説 苛斂誅求 税金などをきびしく取り立てること。むごい取り立て。 [使用例] 苛斂誅求飽くことを知らなかった国民政府の治下を離れ、苛か捐えん酷こく税ぜいの桎しっ梏こくを逃れて、東洋和平を念願とする大日本皇軍の庇護の下に楽業に就くを得たるは譬たとえようなき幸福である[火野葦平*麦と兵隊|1938] [使用例] 公平無私な官吏や苛斂誅求を事とせぬ政治家の皆無だった当時のこととて、孔子の公正な方針と周到な計画とはごく短い期間に驚異的な治績を挙げた[中島敦*弟子|1943] [使用例] 近代百年の収奪によって地方の宝は残り少なくなってきているが、しかしまだ間に合う。地方はその宝を中央の悪代官たちの苛斂誅求の魔の手から守り通さなければならない[井上ひさし*それからの「吉里吉里国」|1992] [解説] 税の取り立ては、古今を通じて過酷であるようです。日本では、「万葉集」の中に、税に関する最古の和歌が出てきます。僧が檀家の人に対して「里さと長おさが税を督促しに来たら、あなたは泣くだろう」と詠みかけています。 「苛斂誅求」ということばにも、税の過酷さが表れています。「苛斂」も「誅求」も厳しい取り立てのこと。「苛斂誅求」と二つ重ねる例は、日本では二〇世紀初めから現れています。 例文の[麦と兵隊]には、「苛捐酷税」という熟語も出ています。これは厳しい税ということ。「苛斂誅求」と並べることで、税の過酷さが強調されます。 「麦と兵隊」は、日本軍の中国・徐州攻略を描いた作品です。中国住民が「日本軍のおかげで、重税から逃れることができた」と感謝を述べます。重税は事実でしょうが、中国住民が日本軍にへつらっている様子も感じられます。 出典 四字熟語を知る辞典四字熟語を知る辞典について 情報