若松(長崎県)(読み)わかまつ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「若松(長崎県)」の意味・わかりやすい解説

若松(長崎県)
わかまつ

長崎県南松浦(みなみまつうら)郡にあった旧町名(若松町(ちょう))。現在は新上五島町(しんかみごとうちょう)の南部を占める。旧若松町は五島列島の中央部に位置する若松島(古名狩俣(かりまた)島)を主体に、1956年(昭和31)日ノ島(ひのしま)村を合併、町制施行。2004年(平成16)上五島、新魚目(しんうおのめ)、有川(ありかわ)、奈良尾(ならお)の4町と合併、新上五島町となる。旧若松町域は、31の島(有人島6)からなり、中心となる若松島と中通島(なかどおりじま)南西部は若松大橋で結ばれ、中通島の区域には国道384号が通じる。名称は霊木を祀(まつ)る若松宮に由来する。中心集落にある若松港は、海域公園に指定された若松瀬戸に臨み、西海国立公園(さいかいこくりつこうえん)の観光基地で、港からは五島各地への航路があり、海上タクシーも用意されている。町の産業は漁業主軸で、一本釣りのほかハマチ、タイなどの養殖が盛んで、若松、神部(かんべ)、土井(どい)ノ浦には水産加工場がある。町内には交通不便な地区が多く、キリシタンの伝統をくむカトリック集落が散在し、桐(きり)(中通(なかどおり)島)、土井ノ浦、小田(おだ)(有福(ありふく)島)には天主堂がある。また、国の重要文化財として、極楽寺(ごくらくじ)の銅造如来(にょらい)立像がある。漁生浦(りょうぜがうら)島(2009年の人口35)、有福島(同150)、日ノ島(同58)は、小瀬戸、ヒギレ、宮瀬戸を隔てて若松島(同1889)の属島をなすが、近年これらの瀬戸に交通路や水路を兼ねた防波堤が建設され、本島と結ばれている。また、中通島の西岸の集落から若松港への通学船が就航している。

[石井泰義]

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