日本歴史地名大系 「奈良尾」の解説
奈良尾
ならお
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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長崎県南松浦(みなみまつうら)郡にあった旧町名(奈良尾町(ちょう))。現在は新上五島町(しんかみごとうちょう)の南東部を占める。旧奈良尾町は1943年(昭和18)町制施行、2004年(平成16)若松(わかまつ)、上五島、新魚目(しんうおのめ)、有川(ありかわ)の4町と合併、新上五島町となる。旧奈良尾町域は、五島列島の中通島(なかどおりじま)の南東部に位置し、国道384号が通じる。奈良尾港へは、長崎港と福江(ふくえ)港(福江島)からジェットフォイルとフェリーが就航する。西日本随一の大型巻網漁業の基地で、奈良尾船団を構成しているのは8企業13統(1996)で、約800人の漁船員が雇用されている。このうち約73%が奈良尾以外の居住者で占められる。原因は、奈良尾の人口が都市志向の傾向を示すため、地元企業への就業希望が少なく、過疎化の傾向にあるためである。奈良尾船団の労働力は上五島一円のカトリック集落の子弟によって支えられているといわれ、浜串(はまくし)の岬にはマリア像がそびえ立ち、船団の出漁を見守っている。巻網漁業のほかにブリの定置網漁業(漁協経営)が行われている。背後の遠見番(とおみばん)岳は江戸時代に外国船見張番の置かれた所。奈良尾神社の樹齢600年のアコウは国指定天然記念物。佐尾鼻(さおばな)付近にオニヘゴの自生地がある。1924年(大正13)に献堂された赤レンガ造の福見教会(ふくみきょうかい)などがある。
[石井泰義]
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