苦土明礬(読み)くどみょうばん(その他表記)pickeringite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「苦土明礬」の意味・わかりやすい解説

苦土明礬
くどみょうばん
pickeringite

マグネシウム(Mg)とアルミニウム(Al)の含水硫酸塩鉱物。毛礬(もうばん)系。自形は菱柱(りょうちゅう)状。端面は複雑になるが、端面まで観察されることはまれ。可溶性であるので、水分の当たらない堆積(たいせき)岩の露頭上に着生するものが多い。黄鉄鉱を含む鉱床の酸化帯、とくに炭田や硫黄(いおう)鉱床に見られる。ほかに火山噴気活動の産物として生成され、また、冷泉周辺に生成されることもある。乾燥気候の地域に多い。日本では長野県東筑摩(ちくま)郡筑北(ちくほく)村坂北(さかきた)付近の堆積岩の表面のものが本鉱と同定されている。

 共存鉱物は舎利塩(しゃりえん)epsomite(化学式Mg[SO4]・7H2O)、緑礬(りょくばん)、石膏(せっこう)、アルノーゲンなど。同定は毛状の形態とこれが絡み合ったような外観による。可溶性で渋味のある溶液をつくる。非常にもろい。肉眼では毛礬との区別はつかない。英名はアメリカの法律学者で哲学者のジョン・ピケリングJohn Pickering(1777―1846)にちなむ。

加藤 昭 2016年8月19日]


苦土明礬(データノート)
くどみょうばんでーたのーと

苦土明礬
 英名    pickeringite
 化学式   MgAl2[SO4]4・22H2O
 少量成分  Fe,Ca,Mn,Zn,Ni,Co
 結晶系   単斜
 硬度    1.5
 比重    1.84
 色     無,白,帯緑~帯黄白色
 光沢    ガラス
 条痕    白
 劈開    ほとんどなし
       (「劈開」の項目を参照

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最新 地学事典 「苦土明礬」の解説

くどみょうばん
苦土明礬

pickeringite

化学組成MgAl2(SO44・22H2Oの鉱物。単斜晶系,空間群P2,格子定数a2.08nm, b2.42, c0.618, β94.1°,単位格子中4分子含む。晶癖針状。劈開{010}不良,断口貝殻状,脆弱,硬度1.5, 比重1.73~1.79。ガラス光沢,無色・純白ときに帯黄・帯赤色。味収斂れん性の酸味。透過光で無色,屈折率α1.475, β1.480, γ1.483, 2V(-)60°。一般には,(Mg, Fe)Al2(SO44・22H2O,Mg>Feのものを苦土明ばん,Fe<Mgのものを鉄明ばんといい,組成は連続的に変化する。融点95~105℃でアルノーゲン(~113℃)よりやや低い。水溶性,酸性溶液となる。黄鉄鉱やアルミナ堆積物の風化生成物として産出。J.Pickering(1777~1846)から命名。

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参照項目:鉄明礬

出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の苦土明礬の言及

【擬ミョウバン(擬明礬)】より

…たとえば鉄ミョウバン(halotrichite)FeIISO4・Al2(SO4)3・22H2Oは,硫酸を含む熱水溶液が火成岩に作用して生ずる単斜晶系の鉱物である。また苦土ミョウバン(pickeringite)MgSO4・Al2(SO4)3・22H2Oは単斜晶系の鉱物で,やはり岩石が硫酸に侵された場合にみられる。そのほかMIISO4とAl2(SO4)3との比が1対1でない複塩は,CuII,MnIIについても知られている。…

※「苦土明礬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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