毛礬(読み)もうばん(その他表記)halotrichite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「毛礬」の意味・わかりやすい解説

毛礬
もうばん
halotrichite

可溶性の含水鉄、アルミニウム硫酸塩鉱物。もっとも普通の地表生成鉱物の一つ。黄鉄鉱を含む泥岩や粘土化した火山岩、火砕岩(火山砕屑(さいせつ)岩)の地表風化産物として生成され、火山噴気生成物として、あるいは不純な石炭層の分解物としても産する。可溶性のため、直接雨水の当たらない場所や坑道、洞窟内、あるいは乾燥気候地域の冬季少雨期に生成されやすい。自形菱形(ひしがた)の断面をもつ柱状。繊維状あるいは毛髪状となったものの断面で観察されるが、端面(結晶突端にある結晶面)の出現はまれ。英名はラテン語で塩類haloと毛状trichumを意味する語の合成語による。

加藤 昭]


毛礬(データノート)
もうばんでーたのーと

毛礬
 英名    halotrichite
 化学式   Fe2+Al2[SO44・22H2O
 少量成分  Mg,Mn,Cu,Ca,Co
 結晶系   単斜
 硬度    1.5
 比重    1.95
 色     白,無
 光沢    ガラス
 条痕    白
 劈開    無
       (「劈開」の項目参照
 その他   可溶性。渋い味がする

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android