植物の体制で,地上部に茎と葉の区分が明らかなもの。葉状体に対する語。維管束植物ではすべてのものが組織の分化を伴った茎と葉をもっており,そのどちらかが極端に退化していたとしても,例外なく茎葉体といえる。コケ植物では組織の分化がみられないために,茎葉体と葉状体の区分の難しいものもみられる。藻類や菌類の場合,ホンダワラの類やハナゴケなどの地衣類のように一見茎と葉が分化しているかのようなものもあるが,維管束植物でいう茎葉体とは相似のものであって相同の体制とはいえない。逆に,維管束植物のうちでも,ウキクサやカワゴケソウのように,一見苔(たい)類の葉状体のような見かけをもつものもあるが,よくみれば茎や葉の分化は顕著であって,葉状体とは異なっている。コケ植物と維管束植物を含めた陸上植物の総称として茎葉植物cormophytaの呼称が用いられることもある。
執筆者:岩槻 邦男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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