葉状構造(読み)ようじょうこうぞう

岩石学辞典 「葉状構造」の解説

葉状構造

foliaceous structure: 葉状構造で,葉層は薄く容易に剥げやすいもの[Hatch : 1888].
foliated structure: 薄い層または葉状のもので構成されている岩石の構造で,結晶片岩鉱物平行配列や,波状や層状などの配列をする際の記載によく使われる[MacCulloch : 1821].
foliation: 鉱物の集合体の中で,板状または葉片状の鉱物結晶が多数積重なったような鉱物縞が面的に配列した構造を示すもの.火成岩にも変成岩にも使用する.ダーウィンにより最初に使用された語であるが[Darwin : 1846],後にハーカー特定の鉱物の集合体による組成的な層状のものを示すと定義した[Harker : 1932].しかし,片理をいうもの,劈開と片理と片麻組織を合わせたものをいうもの,さらに火成岩の鉱物配列による平行な面をいうものなど,人により使用がまちまちである.変成作用の過程で平らな形の鉱物が偏析して,方向配列をした鉱物の集合体がレンズ状または不規則な層を作り,しばしば一種類の鉱物が卓越している.さらに劈開や片理なども含み,一般に変成岩の中の面状構造に使用する.片岩に最も卓越しており,層状またはレンズ状の平行配列をしている.葉状組織が肉眼的にフェルト状の結晶の集合でできている場合を閉じた葉状組織(closed foliation)といい,肉眼的に互いに不連続的で関係のない鉱物による組織の場合に開いた葉状組織(open foliation)という.火成岩でも特定の葉状の鉱物が優先配列をする場合に用いる.

葉状構造

葉状キャスト

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「葉状構造」の意味・わかりやすい解説

葉状構造
ようじょうこうぞう
foliation

変成岩にみられる方向性の著しい構造で、構成鉱物の量比の異なる薄層が繰り返し重なっているものをいう。変成作用の結果、柱状あるいは鱗片(りんぺん)状の鉱物が平行に配列して形成される。しかし、この用語は、結晶片岩の片理や片麻(へんま)岩の縞(しま)状構造と混乱して用いられたり、ときには岩石の薄く割れやすい性質である劈開(へきかい)や剥離(はくり)性にまで用いられており、変成岩構造を表す適切な用語となっていない。

[斎藤靖二]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「葉状構造」の意味・わかりやすい解説

葉状構造
ようじょうこうぞう
foliation

フォリエーションともいう。結晶片岩などによくみられる薄くはげやすい構造。結晶片岩には雲母や緑泥石などのように,片状や鱗状の鉱物がある一定の方向に並び,片理をつくっている。これに沿って岩石がはげやすい。また片理面と一致しない葉状構造ができることもある。

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