日本大百科全書(ニッポニカ) 「葛原妙子」の意味・わかりやすい解説
葛原妙子
くずはらたえこ
(1907―1985)
歌人。東京生まれ。府立第一高等女学校卒業。外科医の葛原輝と結婚。1939年(昭和14)『潮音』入社、太田水穂(みずほ)に師事。『橙黄(とうおう)』(1950)、『原牛』(1959)、『葡萄木立(ぶどうこだち)』(1963)、『朱霊(しゅれい)』(1970。第5回迢空(ちょうくう)賞受賞)、『鷹(たか)の井戸』(1977)などの歌集がある。鋭い直観力によって、日常のうちに潜む異常世界を透視し、一瞬のうちに存在の不安とかなしみをとらえる変幻自在の作風により「現代の魔女」とよばれる。81年雑誌『をがたま』を創刊。
[菱川善夫]
他界より眺めてあらばしづかなる的となるべきゆふぐれの水
『『葛原妙子歌集』(1974・三一書房)』