薦被り（読み）コモカブリ

デジタル大辞泉

こも‐かぶり【^▽薦^▽被り】

１ 薦で包んだ4斗（約72リットル）入りの酒樽。
２ 《薦をかぶっていたところから》乞食こじき。こも。
[類語]（1）樽・酒樽・ビヤ樽・角樽・柳樽／（2）物乞い・乞食

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

こも‐かぶり【薦被・菰冠】

1. 〘 名詞 〙
2. ① こもで包んだ酒樽(さかだる)。主に四斗（約七二リットル）入りの大きな酒樽をいう。
   1. [初出の実例]「はんじゃうな庭にいたみの菰かぶり」(出典：雑俳・もみぢ笠（1702）)
   2. 「総勢凡そ三千余名、菰被り二十余樽の鏡を打抜き」(出典：朝野新聞‐明治二六年（1893）一月一七日)
3. ② ( こもを被っていたところから ) 乞食。
   1. [初出の実例]「一犬ほゆる佐野の夕月〈正友〉 こもかふり露打はらふかけもなし〈一朝〉」(出典：俳諧・談林十百韻（1675）上)
4. ③ 死刑囚。また、非業の死をとげて、亡骸(なきがら)にこもをかぶせられる者。
   1. [初出の実例]「せぎゃうのにはのたけやらひ、ゆひたてらるる、こもかぶりにもならばなれと」(出典：評判記・もえくゐ（1677）)
5. ④ 越後国（新潟県）の新潟・沼垂、羽前国（山形県）の酒田、渡島国（北海道）の湯殿沢などの地方で、売春婦をいう。
   1. [初出の実例]「湯殿沢（松前）の薦被(コモカフ)りは人目を忍ぶ意より取」(出典：西蝦夷日記（1863‐64）二)

出典　精選版 日本国語大辞典

食器・調理器具がわかる辞典

こもかぶり【薦被り】

こも（粗く織ったむしろ）で包んだ4斗（約72ℓ）入りの酒だる。

出典　講談社