薩摩問屋(読み)さつまどいや

精選版 日本国語大辞典 「薩摩問屋」の意味・読み・例文・類語

さつま‐どいや‥どひや【薩摩問屋】

  1. 〘 名詞 〙 江戸時代大坂薩摩堀にあった薩摩領内の物産荷受問屋薩摩国鹿児島県)の物産と共に琉球を経て輸入される唐物を多く扱った。
    1. [初出の実例]「そのあたりにて身躰の様子たづぬれば、薩摩問屋(さつまドヒや)なるが」(出典浮世草子好色万金丹(1694)一)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「薩摩問屋」の意味・わかりやすい解説

薩摩問屋
さつまどいや

江戸時代、大坂に設けられた国問屋の一つ。1630年(寛永7)大坂阿波座(あわざ)(大阪市西区)に新堀が開削され、幕府の要請により薩摩藩が同堀(薩摩堀と改称一帯を自国物産回着地と定め、同堀開発者の薩摩屋仁兵衛(にへえ)と鍋屋宗円(なべやそうえん)を国産荷物売買の取締に任じたのが薩摩問屋のおこりである。その後鍋屋は断絶したが、問屋数は正徳(しょうとく)年代(1711~16)には7軒、安永(あんえい)年代(1772~81)には20軒、幕末には30軒を数えた。薩摩藩領国産品である砂糖、蝋(ろう)、乾物煙草(たばこ)、鰹節(かつおぶし)などのほか琉球(りゅうきゅう)産品や琉球を経由する唐物などを取り扱った。取引方法は、一定の販売手数料の契約の下に、荷主から委託を受けた物品を販売する荷受問屋的なものが多かった。

[宮本又郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「薩摩問屋」の意味・わかりやすい解説

薩摩問屋
さつまどんや

江戸時代,薩摩藩の物産や唐物 (からもの) を扱った大坂の特権的荷受問屋。寛永5 (1628) 年,大坂阿波座新堀の開発後,同8年に薩摩屋仁兵衛の開業した国産取扱問屋がその始り。安永7 (1778) 年,薩州定問屋として株仲間を公許,翌8年,株数を 30軒に定められ三十軒問屋と称した。

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旺文社日本史事典 三訂版 「薩摩問屋」の解説

薩摩問屋
さつまどいや

江戸時代,大坂に設けられた薩摩藩産物を扱う荷受問屋
1628年大坂薩摩堀に設置したのが最初。1714年には7軒の問屋があり,'72年株仲間を結成した。

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