薫衣香(読み)クノエコウ

デジタル大辞泉 「薫衣香」の意味・読み・例文・類語

くのえ‐こう〔‐カウ〕【衣香/薫香】

衣服にたきしめるための薫物たきもの沈香じんこう白檀びゃくだん丁字香ちょうじこう麝香じゃこうなどを練り合わせたもの。くぬえこう。くえんこう。 夏》松風にさめて行くなり―/紅緑

くぬえ‐こう〔‐カウ〕【衣香】

くのえこう(薫衣香)

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精選版 日本国語大辞典 「薫衣香」の意味・読み・例文・類語

くのえ‐こう‥カウ【薫衣香】

  1. 〘 名詞 〙 衣服にたきしめる香。甲香丁子香(ちょうじこう)沈香(じんこう)麝香(じゃこう)白檀(びゃくだん)その他をまぜて作った練香(ねりこう)。くぬえこう。くんえこう。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「山には、黒方(くろぼう)侍従(じじう)・くのゑかう・合わせたきものどもを土にて、小鳥・玉の枝並みたちたり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲中)

くぬえ‐こう‥カウ【薫衣香】

  1. 〘 名詞 〙くのえこう(薫衣香)
    1. [初出の実例]「くさぐさの御薫物(たきもの)ども、くぬえかう、又なきさまに、百歩(ぶ)ほかを多く過ぎ匂ふまで」(出典:源氏物語(1001‐14頃)絵合)

くんえ‐こう‥カウ【薫衣香】

  1. 〘 名詞 〙くのえこう(薫衣香)《 季語・夏 》 〔明応本節用集(1496)〕

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世界大百科事典(旧版)内の薫衣香の言及

【香】より

…また空薫(香)(そらだき)といって室内に香をたきくゆらせ,去穢(きよえ),潔場に用いられた。趣味,実用にも用いられ,正倉院にもあるえび香は沈香,白檀,丁香,麝香,甘松等を砕粉調合したものであるが,薫衣,防虫に用いられ,薫衣香ともいう。調合した香を袋に入れ,柱に掛けて装飾をも兼ねれば掛香,薬玉(くすだま),訶梨勒(かりろく)となり,懐中にすれば匂袋である。…

※「薫衣香」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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