熱帯産のジンチョウゲ科の樹木からとる香木。これらの樹木の材が土中に埋まり,樹脂が浸出し,長期間を経て香木の状態になったものを,時代や品質によって沈香,伽羅(きやら)などと呼ぶ。良質のものは比重が大きく,水に沈むので,沈香という名が生じた。沈香の原料植物は,いくつかの種類があり,必ずしも特定できないが,有名なものは,とくにジンコウの名があたえられているAquilaria agallocha Roxb.で,高さ約30mの常緑高木になる。インド,マレー地方,中国南部などに自生し,また栽培して,幹に人工的に傷をつけ,土中に埋めて沈香をとる。同属のA. Sinensis (Lour.) Gilg.も同じように香木にされることがある。またジンチョウゲ科のGonystylus属やトウダイグサ科のExcoecaria属の材にも沈香の名がつけられることがあるという。沈香は,ベンジルアセトン,高級アルコール,テルペンなどからなる樹脂を約50%含む。燃やすと特有の芳香を発し,仏教をはじめとする宗教儀式に用いられ,また日本の香道の主役とされる。東大寺正倉院御物の蘭奢待(らんじやたい)は名木として著名である。薬用としては喘息,嘔吐,腹痛,腰やひざの冷えなどに用い。鎮静や疲労回復の効があるとされる。
執筆者:星川 清親
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出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
…しかし,植物体各部に有毒成分を含むものがあり,液果を食べると中毒死を,また樹液は皮膚にかぶれを起こす。東南アジア産で,香の貴重な材料となるジンコウ(沈香)もこの科に含められる。【浜谷 稔夫】。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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