藤八拳（読み）トウハチケン

デジタル大辞泉

とうはち‐けん【藤八拳】

《藤八五文薬の売り声から、あるいは幇間ほうかん藤八からという》拳の一。二人が相対し、両手を開いて耳のあたりに上げるのを狐、ひざの上に置くのを庄屋、左手を前に突き出すのを鉄砲（または狩人）と定め、狐は庄屋に、庄屋は鉄砲に、鉄砲は狐にそれぞれ勝つ。狐拳きつねけん。庄屋拳。

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

とうはち‐けん【藤八拳】

1. 〘 名詞 〙 ( 藤八五文薬(とうはちごもんぐすり)の売り声からとも、江戸吉原の幇間藤八の創案ともいう ) 拳の一つ。二人が対座し、身振りによってそれぞれ庄屋・鉄砲・狐の三つの姿を作って勝負をきそうもの。狐拳。庄屋拳。藤八。
   1. [初出の実例]「あれ、拳を打って、おやまあ流行(はやり)におくれた藤(トウ)八拳(ケン)でさ」(出典：歌舞伎・青砥稿花紅彩画（白浪五人男）（1862）序幕)

出典　精選版 日本国語大辞典

日本大百科全書(ニッポニカ)

藤八拳
とうはちけん

拳の一種。三すくみ系の狐拳(きつねけん)で、江戸時代から広く行われ、東八、唐八とも書く。

［編集部］

[参照項目] | 拳

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)

百科事典マイペディア

藤八拳【とうはちけん】

→狐拳(きつねけん)

出典　株式会社平凡社

世界大百科事典（旧版）内の藤八拳の言及

【拳】より

…このように1から10までと〈無し〉の11種で，これを中国語音で呼ぶ。
［三すくみ拳］
　おもなものとして狐拳(庄屋拳，藤八拳ともいう)，虫拳，虎拳，石拳(じゃんけん)などがあるが，さらに狐拳から変容した柳拳，尾上拳，深川拳，ちょん脱拳，お上げのお手を，おいでなさい，廻り拳，供（とも）せ供せなどがある。また拳をつかわず，狐拳を言葉で行うめくら拳もある。…

※「藤八拳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」