狐拳(読み)キツネケン

デジタル大辞泉 「狐拳」の意味・読み・例文・類語

きつね‐けん【×狐拳】

藤八拳とうはちけん

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精選版 日本国語大辞典 「狐拳」の意味・読み・例文・類語

きつね‐けん【狐拳】

  1. 〘 名詞 〙(けん)の一つ。二人相対して座し、両手を用いて行なう。両手を開いて両鬢(びん)のあたりへあげるのを狐、両肩を張り両手を膝の上に置くのを庄屋(しょうや)左手を握って前へ出し、右肘を張るのを鉄砲、あるいは猟人(かりゅうど)に見たてる。狐は庄屋に勝つが鉄砲に負け、庄屋は鉄砲に勝つが狐に負け、鉄砲は狐に勝つが庄屋に負けると定める。しゃんしゃんしゃんと手を打ってからはじめ、おのおのその姿を作って勝負を決する。藤八拳(とうはちけん)庄屋拳。きつね。
    1. [初出の実例]「サアきつね拳(ケン)でてうしをかへにいかう」(出典洒落本・見通三世相(1796)中幕)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「狐拳」の意味・わかりやすい解説

狐拳
きつねけん

じゃん拳に類似した,指や腕を使って勝敗を争う遊技。向かい合って正座した2人がお互いに,キツネ猟師・庄屋いずれかの姿勢を出し合う。キツネは両手を開き耳のあたりに上げてキツネの耳の形にし,猟師は両手で握り拳をつくり鉄砲を構えるようにし,庄屋は両手を開いてひざの上に置く。キツネは庄屋を化かして庄屋に勝ち,猟師はキツネに勝ち,庄屋は立場が強いので猟師に勝つというルールになっている。藤八拳 (とうはちけん) ,庄屋拳,在郷拳,名主拳など多くの名称をもち,江戸時代に酒席座興として始まったものとされるが,いずれもキツネ・猟師・庄屋の三すくみによって勝ち負けが決められる。 (→ )

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百科事典マイペディア 「狐拳」の意味・わかりやすい解説

狐拳【きつねけん】

一種。庄屋拳,藤八拳(とうはちけん)ともいう。キツネ(両手を開いて両耳辺にあげる),庄屋(両手を膝(ひざ)上に置く),鉄砲(左手の拳を握って前に出し,右肘(ひじ)を張って鉄砲を撃つ構えをする)の三つ仕種があり,キツネは庄屋に,庄屋は鉄砲に,鉄砲はキツネに勝つ。3連勝した者を勝ちとする。

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世界大百科事典(旧版)内の狐拳の言及

【拳】より

…このように1から10までと〈無し〉の11種で,これを中国語音で呼ぶ。
[三すくみ拳]
 おもなものとして狐拳(庄屋拳,藤八拳ともいう),虫拳,虎拳,石拳(じゃんけん)などがあるが,さらに狐拳から変容した柳拳,尾上拳,深川拳,ちょん脱拳,お上げのお手を,おいでなさい,廻り拳,供(とも)せ供せなどがある。また拳をつかわず,狐拳を言葉で行うめくら拳もある。…

※「狐拳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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