日本大百科全書(ニッポニカ) 「蚌埠」の意味・わかりやすい解説
蚌埠
ほうふ / ポンプー
中国、安徽(あんき)省北部の地級市。淮河(わいが)の南岸に位置する商工業都市で、4市轄区、3県を管轄する(2016年時点)。人口365万6418(2010)。蚌埠の名は『禹貢(うこう)』によると、昔ここを拠点としていた夷(い)族が蚌(ハマグリの一種)を採取して、珠(たま)をとっていたことにちなむという。もとは鳳陽(ほうよう)県の蚌歩集(ほうほしゅう)という小さな市場集落であったが、1911年に津浦(しんぽ)線(現、京滬(けいこ)線)が全通すると南北交通と淮河水運とを結ぶ要衝として発展し、1947年に市が設けられた。
機械、化学、製薬、電子、建築材料などの工業が盛ん。古くから淮河流域の水陸交通と物資集散の中心であり、周辺農村は米、小麦、雑穀、ラッカセイ、ゴマなどの産地である。また淮河治水事業の中心であり、上流から運搬される木材の集散地でもある。
[林 和生・編集部 2017年7月19日]