(読み)ミズチ

デジタル大辞泉 「蛟」の意味・読み・例文・類語

み‐ず‐ち〔‐づ‐〕【×蛟/×虬/×虯/×螭】

《古くは「みつち」。「み」は水、「つ」は「の」、「ち」は霊の意》想像上動物。蛇に似て長く、角と4本の足がある。水中にすみ、毒気を吐いて人を害するという。

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精選版 日本国語大辞典 「蛟」の意味・読み・例文・類語

み‐ず‐ち‥づ‥【蛟・&JISEE71;・&JISF95A;・&JISEE7D;】

  1. 〘 名詞 〙 ( 古くは「みつち」。「み」は水、「つ」は「の」、「ち」は霊物の意 ) 水中にすみ、蛇に似て、角や四足をそなえ、毒気を吐いて人を害するという想像上の動物。みずは。
    1. [初出の実例]「吉備の中の国の川嶋河派(かはしまかはら)に、大虬(ミツチ)有て人を苦び令む」(出典日本書紀(720)仁徳六七年是歳(前田本訓))

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普及版 字通 「蛟」の読み・字形・画数・意味


12画

[字音] コウ(カウ
[字訓] みずち

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(交)(こう)。〔説文〕十三上に「の屬なり。角無きを蛟と曰ふ」(段注本)とあり、みずちをいう。〔楚辞、九歌、湘夫人〕に「蛟、何爲(なんす)れぞ水裔にある」とみえ、魚類の王とされる。に交結の意があり、西周後期の青銅器である〔頌壺(しようこ)〕の文様に、華麗な蛟竜文が加えられている。

[訓義]
1. 水中の竜、みずち、角のない竜、母竜。
2. 鮫と通じ、さめ、大魚。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕蛟 美止知(みとち) 〔和名抄〕蛟 美知(みづち)、日本紀私記に大の二字を用ふ 〔名義抄〕蛟 ミヅチ 〔立〕蛟 ミヅチ・ノヅチ

[語系]
蛟・(絞)keは同声。gyu、樛kyuも声義近く、みな糾纏の意をもつ字。蛟・はそのような形態のものとして考えられていたのであろう。

[熟語]
蛟革・蛟・蛟蛟宮蛟窟蛟室蛟水蛟蛇・蛟・蛟蛟篆蛟電・蛟竜
[下接語]
魚蛟・水蛟潜蛟・蟄蛟・騰蛟・竜蛟

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「蛟」の意味・わかりやすい解説


みずち

水中に住むという妖怪(ようかい)。蛇に似て、四足があるという想像上の動物。蛟竜、虯とも書き、「ほら」ともいう。大きさなどの伝聞は正確でなく、長さ七丈九尺(約24メートル)余りとか、一丈(約3メートル)余りなどという。毒気を吐いて人に害を与えるともいうが、大雨を降らすなどの伝承が多く、水神もしくは水神の使わしめと考えられてきた。河童(かっぱ)のことをメドチ、ミッツドンなどとよぶ地方があるのは、水神が零落して妖怪となった河童に、蛟の名をつけたものである。

[井之口章次]

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動植物名よみかた辞典 普及版 「蛟」の解説

蛟 (ミズチ)

動物。水中に住むという妖怪

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