蠅頭(読み)ようとう

精選版 日本国語大辞典 「蠅頭」の意味・読み・例文・類語

よう‐とう【蠅頭】

〘名〙 (蠅(はえ)の頭の意から)
① 細かい文字をいう。細字
※新編覆醤続集(1676)二・詠懐「蠅頭謄晉字、鵝腿学唐詩
文学論(1907)〈夏目漱石〉序「留学中に余が蒐めたるノートは蠅頭の細字にて五六寸の高さに達したり」 〔南史‐斉宗室伝・衡陽元王釣〕
② わずかの利益をいう。小利
※星巖集‐丙集(1837)夷白盦集一・題林良水禽図二十韻「吁嗟蝸角名蠅頭利役人日日太忙生」 〔蘇軾‐満庭芳詞〕

はえ‐がしら はへ‥【蠅頭】

〘名〙
① 蠅の頭。
矢羽の名。黒味を残して羽(は)どったもの。
③ 縄、紐の結びかたの一つはしを疣(いぼ)のようにつき出して結ぶもの。いぼゆい。いぼい。
擬餌鉤(ぎじばり)一種。蠅の形をしたものをつける。
※雑俳・化粧紙(1826)「面白さに加茂の瀬ながす蠅がしら」

はい‐がしら はひ‥【蠅頭】

〘名〙
浄瑠璃宇治の姫切(1658)四「かぶとのしのびのをを、はいかしらにむすびあけ」
浮世草子男色大鑑(1687)二「蠅(ハイ)かしらの釣針もたせて」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「蠅頭」の意味・読み・例文・類語

はえ‐がしら〔はへ‐〕【×蠅頭】

矢羽の名。黒みを残してどったもの。
疣結いぼゆい」に同じ。
擬餌鉤ぎじばりの一種。ハエの形を模したもの。

よう‐とう【×蠅頭】

《ハエの頭の意から》
きわめて細かい文字。細字。
ごくわずかな利益。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「蠅頭」の読み・字形・画数・意味

【蠅頭】ようとう

極めて細かいもの。細字などにたとえる。宋・陸游〔南堂雑興、八首、四〕詩 未だれず、麈尾(しゆび)談の興 常に讀む、蠅頭細字の書

字通「蠅」の項目を見る

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