(読み)ハエ

デジタル大辞泉 「蠅」の意味・読み・例文・類語

はえ〔はへ〕【×蠅】

双翅そうし目イエバエ科および近縁の科の昆虫総称体長約1センチ。はねは、後ろ翅が退化して棒状となっているため、一対。体は黒色・褐色で、頭部に大きな複眼と3個の単眼があり、触角は短い。幼虫うじイエバエクロバエショウジョウバエなどがあり、消化器伝染病を媒介する。はい。 夏》「やれ打つな―が手をすり足をする/一茶
[補説]作品名別項。→

はえ【蠅】[書名]

原題、〈フランスLes Mouchesサルトル戯曲。3幕。1943年、ドイツ占領下のパリ市立劇場サラベルナール座にて初演ギリシャ神話エレクトラオレステス物語を下敷きにした作品。
横光利一短編小説。大正12年(1923)「文芸春秋」誌に発表

はい〔はひ〕【×蠅】

はえ(蠅)」の音変化。

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精選版 日本国語大辞典 「蠅」の意味・読み・例文・類語

はえはへ【蠅】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ハエ(双翅)目の昆虫。主としてイエバエ科・クロバエ科およびニクバエ科に属するものをいうが、広くはそれに近縁の多くの科のものも含めていう。体長はふつう一センチメートル内外で、体色は黒や青緑色など。よく発達した一対の前ばねをもつが、後ろばねは退化変形して平均棍(こん)と呼ばれ、体の平均をとる働きをする。幼虫はウジで、汚物中にすむ。赤痢(せきり)チフスなど伝染病を媒介するほか家畜や農作物に害を与える種が多い。イエバエ・キンバエ・ヤドリバエサシバエ・ウマバエ・ツェツェバエなど種類が多い。はいむし。はい。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「科野国言さく、蠅(ハヘ)(むらか)れて西に向ひて巨坂を飛踰ゆ」(出典:日本書紀(720)斉明六年是歳(北野本訓))
  3. とるにたりないつまらない者。人を卑しめののしることば。はい。

蠅の補助注記

室町時代以降「はい」の形が現われ、口頭語としては「はい」が優勢であった。


はいはひ【蠅】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「はえ(蠅)」の変化した語 )
  2. はえ(蠅)〔文明本節用集(室町中)〕
  3. はえ(蠅)

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普及版 字通 「蠅」の読み・字形・画数・意味


19画

[字音] ヨウ
[字訓] はえ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は黽(ぼう)。黽に繩(縄)(じよう)の声があり、蠅はその語頭子音の脱したものであろう。〔説文〕十三下に「營營たる蠅」と〔詩、小雅、青蠅〕の句を引き、「蟲の大腹なるなり」とし、字を虫・黽の会意とする。黽をその象形とするものであろうが、形が似ていない。黽はその飛ぶ声を写したものであろう。

[訓義]
1. はえ。
2. はえとりぐも。
3. 蠅蠅は、遊びあるくさま。

[古辞書の訓]
和名抄〕蠅 波倍(はへ)〔字鏡集〕蠅 ハエ

[熟語]
蠅営・蠅止・蠅市・蠅矢・蠅集・蠅声・蠅蚋・蠅鼠・蠅虫・蠅点・蠅頭・蠅払・蠅糞・蠅蠅・蠅利
[下接語]
寒蠅・秋蠅・青蠅・蛆蠅・蒼蠅・飛蠅

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「蠅」の意味・わかりやすい解説


はえ
Les Mouches

フランスの戯曲。3幕の散文劇。 J.サルトル作。 1943年刊。初演 43年パリ,都市劇場 (サラ・ベルナール座) 。演出 C.デュランアイスキュロスの『オレステイア』を粉本に,オレストの人物像と思想の変遷に焦点を合せ,彼がジュピテルと戦ってアルゴスの市民を迷信から解き放って立去るまでを描き,原作の運命悲劇を自由と行為の選択の劇に変えている。占領下のパリでの公演は大当りをとり,実存主義演劇の先駆となった。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「蠅」の解説

蠅 (ハエ)

動物。双翅目に属する昆虫の総称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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