デジタル大辞泉
「被り」の意味・読み・例文・類語
かぶり【▽被り/▽冠】
1 かぶること。かぶるもの。「砂―」「薦―」
2 フィルム・印画紙を現像したときに、露光しなかった部分に生じる黒い曇り。
3 芝居・寄席などの終演。打ち出し。
4 芝居・寄席などの大入り。
5 (冠)
㋐「かんむり」に同じ。
「このごろの―は、昔よりははるかに高くなりたるなり」〈徒然・六五〉
㋑官位。
「其の―に二十六階あり」〈天智紀〉
6 《冠をつけるところから》元服すること。加冠。
「男君達の―などし給へるも」〈栄花・月の宴〉
7 負担としてしょいこむこと。
「我が了簡でしたことは、皆此の身の―となる」〈松翁道話・三〉
8 しくじること。
「知れると大―さ」〈洒・古契三娼〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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かぶり【被・冠】
- 〘 名詞 〙 ( 動詞「かぶる(被)」の連用形の名詞化 )
- ① =かんむり(冠)①
- [初出の実例]「なめげにいひたてりしを、にくさにかふりをなんうち落して」(出典:落窪物語(10C後)二)
- ② 官位。
- [初出の実例]「因て冠位(カフリ)一級(ひとしな)を給ふ」(出典:日本書紀(720)舒明一一年一一月(図書寮本訓))
- ③ ( ━する ) ( 冠をつけるところから ) 元服すること。加冠。
- [初出の実例]「かふりゆへに、人もまたあいなしと思ふ思ふ、わざもならへとて」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
- ④ =かんむり(冠)②
- ⑤ 負担としてしょいこむこと。損失や責任になること。
- [初出の実例]「川立は川とやらいふて、とふでしまひはこっちのかぶりになるせりふじゃぜ」(出典:洒落本・北華通情(1794))
- ⑥ 人に対して面目ないことをしでかすこと。しくじること。
- [初出の実例]「今ではおれも少しかぶりの筋ぢで屋敷へは帰られず」(出典:歌舞伎・千代始音頭瀬渡(1785)三立)
- ⑦ 和歌や俳句の初めの文字。折句(おりく)の際に用いられる。
- [初出の実例]「哥のはじめおはりに、いろはのもじを置かる。かぶりは、らりるれろ、くつはいうあ」(出典:春のみやまぢ(1280)八月二日)
- ⑧ 雑俳、とくに地口点取りの禁忌の一つ。本文冒頭のと同じかなや言葉を、そのまま付句のはじめに置くこと。地口尻取りでは、前句末の言葉を、付句のはじめに使用することをいう。上方口合では「仮名かずき」といった。
- [初出の実例]「アア、悪い悪い。おめへのは、みんなかぶりといふので笑魯や竺万点じゃア無口(はきくち)だぜ」(出典:西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉七)
- ⑨ ( ⑧から ) 江戸では地口の出だしの文句が重なり合うこと。たとえば「お馬が通るたけのこたけのこ(筍)」(お馬が通るそこ退けそこ退け)などをいう。
- [初出の実例]「地口といふものも、発語(ほつご)の文字が同字なれば、冠(カブリ)と申て忌(いむ)げにござる」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)四)
- ⑩ 芝居、演芸などが終わること。終演。〔最新百科社会語辞典(1932)〕
- ⑪ 芝居があたって、客が大勢くること。大入り。〔最新百科社会語辞典(1932)〕
- ⑫ 写真で、フィルムの欠陥や露出過度などによって、画面にくもりができてぼやけること。
- [初出の実例]「現像の進行を緩くする力を持って居るので、カブリを生ずる傾向の見えるとき」(出典:フィルム写真術(1920)〈高桑勝雄〉現像の仕度・巻フィルムの仕上)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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