( 1 )①の実作としては、「伊勢物語‐九」で、業平が「かきつばた」を句の頭において「から衣きつつなれにしつましあればはるばるきぬるたびをしぞ思(おもふ)」と詠んだのが古い例。
( 2 )「折句」の歌例は「千載和歌集‐雑下」以下、勅撰集にも見え、相応の位置を占めていたらしい。その後、より技巧化して、十文字を各句の上下に据える沓冠折句も行なわれた。
( 3 )連歌・俳諧では、発句の一趣向として行なわれ、特に雑俳は②の形式で流行した。
雑俳様式の一つ。元来は《伊勢物語》の,〈かきつばた〉を句頭に折り込んだ和歌〈から衣きつつなれにし妻しあればはるばる来ぬる旅をしぞ思ふ〉のような,和歌や発句の遊戯として行われた題詠詠み込みであった。1703年(元禄16)ごろに俳諧から独立。初めは,〈ミヤコ 耳塚や矢数たんびに古戦場〉(《雪の虎》)のように,題と作品の内容とを関係させたが,51年(宝暦1)に,大坂で自由に組み合わせた意味のない2字を7・7の句,3字を5・7・5でまとめる新風がくふうされ,以後,人事句として,とくに上方で流行した。〈チタ 遅参の人の鯛が大きい〉〈ホイシ 本則と一所に入れし質の札〉(《折句式大成》)。
執筆者:鈴木 勝忠
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…これを得意としたキャロルのように愛する少女の名を歌いこんで献詩とすることが多い。(2)折句(おりく) 日本的アクロスティックの技法。〈かきつばた〉を隠した〈からころもきつつなれにしつましあればはるばるきぬるたびをしぞおもふ〉(在原業平(ありわらのなりひら))が典型例。…
※「折句」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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