裂く(読み)サク

デジタル大辞泉 「裂く」の意味・読み・例文・類語

さ・く【裂く/割く】

[動カ五(四)]
ひと続きのものを、強い力を加えて直線的に二つに離す。手で強く引っ張って破る。「布を―・く」「生木を―・く」
刃物などで切って開く。「魚の腹を―・く」「うなぎを―・く」
親しい関係にある者どうしを無理に離す。「二人の仲を―・く」
(割く)予定しているものの一部を、都合して他の用に充てる。「時間を―・く」「紙面を―・く」「人手を―・く」
目尻入れ墨をする。
あめつつ千鳥ましととなど―・ける利目とめ」〈・中・歌謡
[可能]さける
[動カ下二]さ(裂)ける」の文語形
[類語]破る破く引き裂く破れる破ける裂ける切り裂く張り裂けるはち切れる鉤裂き

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「裂く」の意味・読み・例文・類語

さ・く【裂・割】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 カ行五(四) 〙
    1. 一つにまとまったものを、手などで二つに離す。ひきやぶる。やぶく。割る。
      1. [初出の実例]「磐裂(いはサク)〈磐裂。此をは以簸娑と云ふ〉根(ね)(サク)の神之子」(出典日本書紀(720)神代下)
    2. 刃物などで切りひらく。切り割る。切り裂く。
      1. [初出の実例]「此の腹の中に我有り。刀深く入れて不可割(さくべから)ず、心知らひて可割(さくべ)し」(出典:今昔物語集(1120頃か)二)
    3. 目尻などを裂いて入墨をする。
      1. [初出の実例]「胡(あめ)鶺鴒(つつ) 千鳥ま鵐(しとと) 何ど佐祁(サケ)利目(とめ)」(出典:古事記(712)中・歌謡)
    4. 人と人との仲を隔てる。
      1. [初出の実例]「まどろまば驚かすなよあふとみる夢にも中をさくと思はん」(出典:頼政集(1178‐80頃)下)
    5. 一部を分けて他にあてる。
      1. [初出の実例]「清も御掛けと云って自分の席を割(サ)いて遣った」(出典:彼岸過迄(1912)〈夏目漱石〉雨の降る日)
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 カ行下二段活用 〙さける(裂)

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