デジタル大辞泉
「破る」の意味・読み・例文・類語
や・る【▽破る】
[動ラ四]やぶる。引き裂く。
「とまれかうまれ、疾く―・りてむ」〈土佐〉
[動ラ下二]「やれる」の文語形。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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やぶ・る【破】
- [ 1 ] 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙
- ① 物を突いて原形をこわす。物をうち砕く。割る。破壊する。
- [初出の実例]「香島嶺の 机の島の 小螺(しただみ)を い拾ひ持ち来て 石もち つつき破夫利(やブリ)」(出典:万葉集(8C後)一六・三八八〇)
- ② 布や紙などを引き裂く。引きちぎる。やぶく。
- [初出の実例]「薄絹を一重破れば」(出典:草枕(1906)〈夏目漱石〉七)
- ③ からだに傷をつける。負傷させる。そこなう。害する。
- [初出の実例]「霜ふりて草木の花葉を傷(やふレ)り」(出典:日本書紀(720)皇極二年三月(岩崎本院政期訓))
- 「身をやぶるよりも、心をいたましむるは、人をそこなふ事なほ甚し」(出典:徒然草(1331頃)一二九)
- ④ 気持を傷つける。機嫌をそこねる。
- [初出の実例]「憂の箭に苦しく心を傷(ヤフラ)る」(出典:西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)一〇)
- ⑤ 物事をだめにする。ぶちこわしにする。成り立たなくする。
- [初出の実例]「内裏より日をとりてくだし給はせて、せめさせ給ふことをば、はかなき私事にてやぶるべきにてはあらず」(出典:宇津保物語(970‐999頃)沖つ白浪)
- ⑥ 慣例や約束など、守るべきことを守らないで無視する。戒律や法律を犯す。
- [初出の実例]「制(ことわり)に違ひ、法を害(ヤフル)」(出典:日本書紀(720)推古一二年四月(岩崎本平安中期訓))
- 「古来の文章法を破(ヤブ)って平易なる通俗文を用ふる」(出典:福翁自伝(1899)〈福沢諭吉〉雑記)
- ⑦ 備え、守り、囲みなどを突き抜けて向うに出る。突破する。突きやぶる。
- [初出の実例]「障子のかためもいと強し。しひてやぶらむをばつらくいみじからむ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)総角)
- ⑧ 戦いや勝負事で相手を負かす。敗北させる。
- [初出の実例]「朕崩(し)なむ後に当に皇太子を害(ヤフラ)む」(出典:日本書紀(720)雄略二三年八月(前田本訓))
- ⑨ それまで続いていた穏やかな状態を突然そこなう。
- [初出の実例]「青嵐夢を破て、その面影もみえざりけり」(出典:平家物語(13C前)三)
- ⑩ それまで維持されていた記録などを更新する。
- [初出の実例]「時々世界のレコードを破(ヤブ)ると云ふやうな高飛とか棒飛とか」(出典:東京年中行事(1911)〈若月紫蘭〉十一月暦)
- [ 2 ] 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙 ⇒やぶれる(破)
や・る【破】
- [ 1 ] 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙 やぶる。やぶく。
- [初出の実例]「とまれかうまれ、とくやりてん」(出典:土左日記(935頃)承平五年二月一六日)
- 「諸部の般若、偏に第一義空を説(とく)は、衆生の執をやらむが為なり」(出典:梵舜本沙石集(1283)四)
- [ 2 ] 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙 ⇒やれる(破)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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