西和賀(町)(読み)にしわが

日本大百科全書(ニッポニカ) 「西和賀(町)」の意味・わかりやすい解説

西和賀(町)
にしわが

岩手県南西部、和賀郡(わがぐん)にある町。2005年(平成17)和賀郡湯田町(ゆだまち)、沢内村(さわうちむら)が合併して成立。町域は奥羽山脈の山岳地帯に展開し、北に和賀岳(1439メートル)、南に南本内岳(みなみほんないだけ)(1492メートル)など、分水界をなす山々がそびえる。冬は2メートルを越す積雪があり、豪雪地帯対策特別措置法に基づく特別豪雪地帯に指定。北上(きたかみ)川の支流和賀川は、和賀岳に発し、町内を北から南へ流れ、南部で東へ流路を変え、東隣の北上市域へと向かう。北上市との境界近くに1965年(昭和40)に多目的ダムの湯田ダム竣工。ダム湖は錦秋湖(きんしゅうこ)とよばれる。南部をJR北上線、国道107号、秋田自動車道が横断、同自動車道の湯田インターチェンジがある。また和賀川沿いに走る主要地方道盛岡横手線が、町内の南北を繋ぐ幹線道路である。地内では旧石器時代の大台野(おおだいの)遺跡、縄文時代のストーン・サークルなどが発見されている。湯田地区はかつて鉱山の町として栄えたが土畑鉱山(つちはたこうざん)の閉山(1976)により、その歴史を閉じた。なお、かつて和賀川南岸の鉱山地帯を通って東西に走る道は、秀衡街道(ひでひらかいどう)とよばれ、奥州平泉(ひらいずみ)に金を運ぶ道であったといわれる。和賀川はカジカイワナヤマメなどが生息する清流で、流域では米作リンドウの栽培が行われ、酪農も盛ん。町内には数多くの温泉があり、湯田温泉峡(ゆだおんせんきょう)とよばれる。錦秋湖付近は、湯田温泉峡県立自然公園に指定され、観光施設も充実。特産品はスッポン(温泉を利用して養殖)、山菜加工品、乳製品など。地ビールブームの一翼をになった銀河高原ビールも当地で誕生した。南部の山地は栗駒(くりこま)国定公園の指定域。面積590.74平方キロメートル、人口5134(2020)。

[編集部]


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