西興部(読み)にしおこっぺ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「西興部」の意味・わかりやすい解説

西興部(村)
にしおこっぺ

北海道東部、オホーツク総合振興局管内の村。1925年(大正14)興部村(現、興部町)より分村。村域の大部分北見山地の山岳地で、興部川、藻興部(もおこっぺ)川に沿う。国道239号が通じる。JR名寄(なよろ)本線は1989年(平成1)廃止、バスに転換。1904年(明治37)以降入植があったが、本格的開拓は1921年の鉄道開通以後である。町域の約89%が森林で、造林事業、木材生産、山菜キノコなど林業副産物の生産が行われる。かつては米、ジャガイモハッカなどの農業も行われたが冷害が多く、1955年ごろから転換が図られ、現在では酪農が主産業である。南西端のウェンシリ岳(1142メートル)は天塩岳道立自然公園域で、山腹万年雪渓流がくりぬいた氷のトンネル奇勝(7月最終日曜日1日限定開放)がある。面積308.08平方キロメートル、人口1053(2020)。

岡本次郎

『『西興部村史』(1977・西興部村)』


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改訂新版 世界大百科事典 「西興部」の意味・わかりやすい解説

西興部[村] (にしおこっぺ)

北海道北部,網走支庁紋別郡の町。人口1135(2010)。北見山地中にあり,大半が山地である。1904年長野県人が入地したが,本格的な開拓は21年に興部川沿いに名寄本線(現在は廃線)が開通してからである。興部川と藻興部(もおこつぺ)川の狭い傾斜地にわずかに農耕地が開ける。第2次大戦後,畑作から酪農への転換を図り,現在は酪農が基幹産業となっている。南西端のウエンシリ岳(1142m)は北見山地の山々やオホーツク海を望む雄大な眺めとお花畑で知られ,山腹には藻興部川が万年雪をくりぬいてつくった氷のトンネルの奇勝がある。国道239号線が通じる。
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