ある課題を解決する際、その成就(じょうじゅ)についての主観的な目標水準を要求水準level of aspirationという。人は課題解決の際、かならずしも完璧(かんぺき)を期さなくても、達成可能と予想される水準に到達すれば満足することもある。たとえば、ボウリングの一投で満点の10点(ストライク)は「理想目標」ideal goalであるが、実際には8点で「現実目標」real goalに達することもある。要求水準を実験的見地から初めて研究したホッペFerdinand Hoppeは、成功体験後は要求水準が上昇するが、失敗体験後はこれが下降する傾向のあることをみいだした。普通、要求水準は、レビンらの分類によって目標差discrepancy scoreや達成差attainment discrepancy scoreで測定される。すなわち、ある課題を与え、一定試行または一定時間内の成績を本人に確認させ、今回の目標(成績)を予測させる場合、前回の成績と今回の目標との差は目標差とよばれ、そして今回の目標とそのもとでの成績の差は達成差とよばれている。一般に、成功体験は目標を上げ、失敗体験は目標を下げる。成功体験や失敗体験ばかりでなく、競争心や野心なども要求水準を高める傾向がある。
個人が自己設定規準に到達したとき自己報酬を与えることによって、自己の行動を高めかつ維持する過程は自己強化self reinforcementとよばれている。要求水準は、機能的には、自己強化や達成動機achievement motivationと関係が深い。教育臨床、教育相談、学習指導などの分野において重要な事柄の一つは、個人のもつ要求水準をどのように変容させるかである。
[祐宗省三]
『関計夫著『要求水準の研究』(1960・金子書房)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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