商品売買または請負に際し所要のすべての費目を計数的に算出することを見積りといい、その内容を記載した文書を見積書という。国内では、大口取引や大工事の請負にはかならず見積書が要求され、売買契約または工事請負契約は、まず見積書の検討に始まり、これに関する関係者双方の意思が合致したとき初めて成立する。国際貿易では、金額の多少に関係なく商談の交渉必須(ひっす)文書として見積書すなわちエスティメートが用意される。貿易の常例によれば、輸出商は、輸出品の仕入値段を基礎とし、それに当該輸出品の改装・輸送・輸出諸経費・予定利益を加算して、輸出品の対外販売価格を見積もる。また輸入商は、輸入品の供給国売価を基礎とし、輸送・輸入諸経費・関税等を加算して、輸入品の自国着値段を見積もる。いずれにせよ見積書の最終重要項目は価格にあるが、見積書はその内容構成の適切性を明示するものでなければならない。
[森本三男]
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