観智院(読み)かんちいん

精選版 日本国語大辞典 「観智院」の意味・読み・例文・類語

かんち‐いん クヮンチヰン【観智院】

京都市南区九条町にある教王護国寺東寺)の塔頭(たっちゅう)一つ。後宇多天皇勅願の二十一か寺の一つで、杲宝(ごうほう)開山とする。客殿は桃山式の書院造り国宝

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「観智院」の意味・わかりやすい解説

観智院 (かんちいん)

京都市南区の東寺(教王護国寺)の塔頭(たつちゆう)の一つ。後宇多法皇は空海に深く帰依し,1308年(徳治3)2月,東寺興隆のための6ヵ条の立願を行った。それにもとづいて21(あるいは15)の塔頭が建立されるが,観智院はその一つである。当院初代の杲宝(ごうほう)は,東寺最高の学僧で,南都北嶺その他から多数の聖教類を収集し,東寺教学の基礎を築いた。現在,観智院金剛蔵聖教と呼ばれているのはそれで,量質ともに日本の聖教のうちで最高のものの一つである。1609年(慶長14)徳川家康は観智院を当山最高の修学所としており,その後も多くの学僧を輩出している。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「観智院」の意味・わかりやすい解説

観智院
かんちいん

京都市南区にある教王護国寺 (東寺) 内の子院で,真言宗勧学院役割をもった寺院。客殿は棟札や墨表により慶長 10 (1605) 年の建立が明らかである。保存もよく,桃山時代の典型的な客殿形式を示す貴重な遺構で,国宝。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

朝日日本歴史人物事典 「観智院」の解説

観智院

生年生没年不詳
室町幕府6代将軍足利義教の室。日野重光の娘。宗子。同じく義教室となり,義勝,義政を生んだ重子の姉に当たる。<参考文献>田端泰子『日本中世の女性

(西尾和美)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の観智院の言及

【東寺】より

… 工芸品では〈海賦蒔絵袈裟箱(かいぶまきえけさばこ)〉(国宝,平安中期)や伝弘法大師請来の密教法具(国宝,金剛盤,五鈷鈴(ごこれい),五鈷杵(ごこしよ))などがあげられる。なお子院の観智院客殿(国宝,1605)は東南隅の座敷に床と違棚を設け,北隣の部屋には付書院と帳台構(ちようだいがまえ)をもち,書院造建築の典型である。【谷 直樹】。…

※「観智院」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android