日本大百科全書(ニッポニカ) 「許南麒」の意味・わかりやすい解説
許南麒
きょなんき / ホナムキ
(1918―1988)
詩人。慶尚南道(けいしょうなんどう/キョンサンナムド)東莱(とうらい/ドンル)生まれ。1939年に渡日。中央大学法科卒業。解放直後より朝鮮語と日本語の詩作を並行。詩風は祖国と民族に対する愛に強く支えられ、朝鮮の状況、朝鮮と日本の関係、在日朝鮮人の問題などを骨太な詩でうたう。日本語の第一詩集『朝鮮冬物語』で中野重治(しげはる)に嘱目された。叙情詩、叙事詩のほかに風刺的手法も駆使。日本語詩集に『火縄銃のうた』『朝鮮海峡』、朝鮮語詩集に『祖国にささげる』『石にまつわるものがたり』、訳詩集に趙基天(ちょうきてん/チョギチョン)『白頭山』、その他がある。
[任 展 慧]
『許南麒著『許南麒の詩』(1979・同成社)』