読谷(読み)よみたん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「読谷」の意味・わかりやすい解説

読谷(村)
よみたん

沖縄県中頭郡(なかがみぐん)にある村。沖縄本島中部の西海岸にある。第二次世界大戦前までは読谷山(ユンタンザ)と呼称。村の東側は南に緩傾斜する丘陵地で、その西側は石灰岩台地。国道58号が縦貫琉球(りゅうきゅう)王府時代は長浜港を中心に南蛮貿易が盛んに行われた。戦前は純農村だったが、現在は村の35.6%がアメリカ軍基地(2022)。村の産業は養豚とサトウキビや野菜栽培を組み合わせた有畜農業が主である。座喜味城跡(ざきみじょうあと)(2000年世界遺産に登録)などの国指定史跡集団自決のチビリガマの戦跡、景勝地の残波岬(ざんぱみさき)、地場産業として読谷山花織(ゆんたんざはなおり)、焼物「やちむん」が知られる。面積35.28平方キロメートル、人口4万1206(2020)。

堂前亮平]

『『読谷村誌』(1969・読谷村)』『『読谷村史』(1986~ ・読谷村)』


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改訂新版 世界大百科事典 「読谷」の意味・わかりやすい解説

読谷[村] (よみたん)

沖縄県中頭(なかがみ)郡の村。沖縄島(本島)中部の西海岸に位置する。人口3万8200(2010)。東は読谷山(よみたんざ)岳(236m)を頂点に,南側へ緩やかに傾斜する丘陵地で,西側は石灰岩台地が広がり段丘地形をなし,残波(ざんぱ)岬で東シナ海へ突き出している。15世紀,読谷按司の護佐丸は長浜の港に拠って南蛮貿易を行い,一大勢力圏を形成した。第2次大戦前は読谷山村といい,サトウキビ,サツマイモの栽培の盛んなところとして知られた純農村であった。第2次世界大戦時,アメリカ軍は北谷町の海岸から本村の海岸にかけて上陸し,凄惨な住民の集団自決があった。現在,村域の半分近くがアメリカ軍の基地である。主要産業として,サトウキビ,野菜,それに近年は花卉栽培などの農業が盛んである。また,読谷山花織(ゆんたんざはなうい)や読谷壺屋焼などの伝統工芸がある。護佐丸が築城した座喜味(ざきみ)城跡(史),琉球音楽の始祖とされる赤犬子(あかいんこ)をまつる赤犬子宮などの史跡がある。
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