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有畜農業 ゆうちくのうぎょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

有畜農業
ゆうちくのうぎょう

作物の栽培と家畜の飼育を組合せた農業形態。ヨーロッパ三圃式農業より発展した。狭義では,家畜飼養が商品生産部門として未確立の段階にあるものをいう。混合農業や酪農はその代表的なもの。家畜の飼育はそれが現金収入をもたらすだけでなく,地力維持のための肥料を生産する。日本の畜産発展の経過をみると,第1次世界大戦後と第2次世界大戦後に大別される。前期には戦後の好景気もあって畜産物需要が増大し,有畜農業の発展をみたが,後期には馬産,養蚕の後退に代って畜産の発展が本格化した。 1953年に有畜農家創設特別措置法が制定され,政策的にも推進された。

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デジタル大辞泉の解説

ゆうちく‐のうぎょう〔イウチクノウゲフ〕【有畜農業】

耕種農業に養畜を導入して行う農業経営。家畜の労力や厩肥(きゅうひ)を利用して生産性を高めようというもの。

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百科事典マイペディアの解説

有畜農業【ゆうちくのうぎょう】

作物栽培と家畜飼養を組み合わせ農業経営形態。畜産物による収入と畜力利用による作業能率の向上をもたらすとともに,家畜排泄(はいせつ)物の耕地への還元やマメ科飼料作物輪作体系への導入などによって地力の増進を図り,作物生産を高める。
→関連項目混合農業

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世界大百科事典 第2版の解説

ゆうちくのうぎょう【有畜農業】

穀作,蔬菜(そさい)作,果樹作その他の耕種部門と養畜部門とを有機的に結びつけた農業生産形態。農業における養畜の役割には,畜産物の生産,厩肥(きゆうひ)の生産,畜力利用の三つがある。厩肥は肥料として,畜力は農作業の能率化のために役立つ。一方,耕種部門からは作物の茎葉,野菜くずなどの副産物が生産され,これらが家畜の飼料として利用される。さらに,年間を通じて土地の効率的な利用を図るため,同じ土地に同じ作物を栽培することによって生ずる収量の減少,病虫害の発生などを避けるために,夏作物・冬作物,イネ科・マメ科・根菜類などの種類の異なる作物の組合せによる輪作が要求される。

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大辞林 第三版の解説

ゆうちくのうぎょう【有畜農業】

家畜を積極的にとりいれた農業経営。家畜の労力や畜産物・厩肥きゆうひの利用を目的として、昭和初期に政府が盛んに奨励した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

有畜農業
ゆうちくのうぎょう

農業の一形態。穀作、蔬菜(そさい)作などの耕種部門と養畜部門とを有機的に結び付け、その適切な運営によって農業経営全体の生産性を高めようとするものである。耕種農業に養畜を取り入れること(複合的農業)の効用として、畜産物の生産、厩肥(きゅうひ)の生産、畜力利用などがあげられる。また、作物の茎葉、野菜くずなどの飼料への利用のほか、飼料作物を輪作作物の一つとして組み込むことにより、土壌の地力維持を図ることができる。
 有畜農業は、輪栽式農業に典型的にみられるように、「家畜なければ農業なし」といわれた西欧において発達した農法である。わが国においては、水田稲作を主としてきたため輪作があまり発達しなかった。しかし、昭和初期の農村不況のころ堆(たい)厩肥で購入肥料を節約するため有畜農業が奨励されたことがあるが、いわゆる寄生地主制による制約などもあって、一般に関心は低かった。
 第二次世界大戦後、有畜農業の必要性がしだいに認識されるようになってきた。しかし、1960年(昭和35)以降、高度経済成長に対応して、農政によって稲作を中心に農業の近代化=機械化が急速に進められた。このため、農村人口は急速に減少するとともに、水稲単作農業と兼業農家が増大し、稲作と畜産の結び付いた有畜農業の発展はほとんどみられなかった。
 1967年に米生産は1445万トンのピークに達したが、同時に「過剰」が発生し、減反政策がとられるようになった。農業近代化政策は畜産を欠いた稲単作農業を推進するため、わが国の家族的農業経営の合理性と矛盾するばかりでなく、農業生産力の基礎である地力の低下をもたらすことになる。
 そこで、地力の低下を防ぎ、減反=転作と結び付けるためにも、有畜農業である有畜複合経営が提起されてきたのは当然である。
 自然力の利用、すなわち自然生態系のなかで行われる農業にとって、有畜農業(有畜複合経営)は今後ますます重要となるであろう。[佐藤 正]

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