誰がために鐘は鳴る(読み)タガタメニカネハナル(その他表記)For Whom the Bell Tolls

デジタル大辞泉 「誰がために鐘は鳴る」の意味・読み・例文・類語

たがためにかねはなる【誰がために鐘は鳴る】

原題For Whom the Bell Tollsヘミングウェイ長編小説。1940年刊。スペイン内乱で政府軍に参加したアメリカ人青年ロバート=ジョーダンゲリラの娘との、愛と犠牲的な死を描く。

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精選版 日本国語大辞典 「誰がために鐘は鳴る」の意味・読み・例文・類語

たがためにかねはなる【誰がために鐘は鳴る】

  1. ( 原題[英語] For Whom the Bell Tolls ) 長編小説。ヘミングウェー作。一九四〇年成立。一九三六年のスペイン内乱の際、政府軍に参加した行動的なアメリカ青年ロバート=ジョーダンの、政府軍ゲリラの娘との野性的な愛や、民衆の自由を守るための戦いへの共感を描く。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「誰がために鐘は鳴る」の意味・わかりやすい解説

誰がために鐘は鳴る
たがためにかねはなる
For Whom the Bell Tolls

アメリカの作家ヘミングウェイの代表的長編小説の一つ。スペイン内乱を背景に、アメリカ青年の英雄的な死と灼熱(しゃくねつ)的な恋を描く。1940年刊。反ファシスト軍に参加したロバート・ジョーダンは、戦略上重要な橋梁(きょうりょう)を爆破する任務を帯びて山中に赴き、ゲリラの協力を求める。ファシストに両親を殺され、自身も犯された過去をもつマリアと3日間の激しい恋に落ちる。連絡の不備などからむだになったのを知りながら爆破を実行、重傷を受け、仲間を逃して自らは死に臨む。全体のために個人を犠牲にする美徳を称揚し、個人主義的傾向の強かった作者の変化ぶりをみせている。スペインの国民と風土を愛していた作者は、反ファシスト軍援助に奔走し、前線にも出入りした。題名イギリス詩人・聖職者ジョン・ダンの説教に基づき、「個人は人類の一部であり、他の人の弔鐘はあなたのためにも鳴っている」という意。

[武藤脩二]

『大久保康雄訳『誰がために鐘は鳴る』(新潮文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「誰がために鐘は鳴る」の意味・わかりやすい解説

誰がために鐘は鳴る
たがためにかねはなる
For Whom the Bell Tolls

アメリカの小説家アーネスト・ヘミングウェーの代表作の一つ。 1940年刊。スペイン内乱に義勇軍一員として参加したアメリカ青年ロバート・ジョーダンの反ファシスト・ゲリラの娘との恋と英雄的な死を描いた長編小説。荒々しい行動の世界を描きながら,個人の無力と連帯責任を主張した作品で,身を丁して反ファシスト軍救援に参加した作者の体験が生かされている。表題はイギリスの詩人 J.ダンの詩句からとったもの。

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デジタル大辞泉プラス 「誰がために鐘は鳴る」の解説

誰がために鐘は鳴る

宝塚歌劇団による舞台演目のひとつ。脚本:柴田侑宏。2010年、宝塚大劇場にて宙組が初演。ヘミングウェイの同名小説を原作としたミュージカル。

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世界大百科事典(旧版)内の誰がために鐘は鳴るの言及

【ヘミングウェー】より

… その後の彼は,一種の時代の偶像として,アフリカでの猛獣狩り,スペイン内乱での救援活動,第2次大戦への参戦,再訪したアフリカでの飛行機事故,キューバ沖での海釣りなど,そのタフな活躍ぶりが逐一報道されるほどの名声を得たが,作家としての幅の狭さや歴史的・社会的意識の欠如に対する批判,ことに往年の自己抑制力を失って短所ばかりの目だつ《持つと持たぬと》(1937)や《川を渡って木立の中へ》(1950)の不評に苦しんだ。その間,短編集《勝者には何もやるな》(1933)での成果,スペイン内乱を描く《誰(た)がために鐘は鳴る》(1940)の商業的成功,そして闘牛と猛獣狩りを扱うノンフィクション《午後の死》(1932)と《アフリカの緑の丘》(1935)の執筆などが特記される。のち,老いた漁師と大魚の神話的な死闘を語る《老人と海》(1952)で再び腕のさえを示した彼は,1954年ノーベル賞を受賞したが,61年猟銃で自殺をとげた。…

※「誰がために鐘は鳴る」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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